■ワンダーランド・ホスピタル
▽オルディさんと由良と満瑠
 
「オルディさん」

それって麻薬ですか?
真顔で満瑠兄が言うので俺とオルディさんは飲んでいたココアを吹いた。

「いやいや待てよ満瑠兄。医者が麻薬キャンディ舐めてるなんて可笑しいだろ」
「違うんですか」
「当たり前だろアホ!」

ちっ、と舌打ちする満瑠兄。

「麻薬だったら複製したかったのに」
「物騒なこと言うなよ」
「みっくん怖い!!!!!!!由良助けて!!!!!!!」
「うわやめろ抱きつくな」

突然オルディさんが抱き着いてきてびっくりする。この人さっきも抱き着いて来たんだけど。スキンシップ激しいな、おい。

「やめろって言いながら拒まないですよね由良」

そう言って蚊帳の外でココアを啜る満瑠兄。いやあなたのせいでこうなってるんですが。助けてくださいよ。ねえ。

「ほんとそういうところ優しいよな由良〜」

そう言って抱き着くオルディさん。いやあなたの抱き締める力が強すぎるんですが。引きこもりの非力舐めるなよ。

「由良、抱いて」
「だが断る」
「じゃあ抱かせて」
「何故そうなる」

この人なんですぐそうなるんだ。健全な中三男子にそういうこと言わないで欲しいわ。

「否定しないってことは…!」
「やめろ!!!!童貞の前に処女奪われたくないわ!!!!」
「大丈夫痛くしな」
「そういう問題じゃない!!!!」

ああこの人なんでそっちに行くんだ。本命の人落としてから言いなよ…なんて言えません。
助けを求めようと満瑠兄を見る。と、満瑠兄は突然立ち上がり――――何の躊躇いもなくオルディさんの口からキャンディを取り上げ自らの口に入れた。

「え、」
「えっ」

俺たちは固まった。いや固まらない方がおかしい。
……満瑠兄、それ間接キスですよ。

「…普通のキャンディですね、なーんだ」

なーんだ、普通のキャンディ…じゃないですよ兄様!!!!!!!!

「満瑠兄…」
「どうしたんです由良。何かおかしいことでも?」

おかしいことだらけでしょうが!そう言うのを遮ったのは、俺を抱くだのうんだの言ってたキャンディの持ち主で。

「みっくううううん!!!!!!!!!!抱いて!!!!!!!!抱かせぼくうううう!!!!!!!!」
「やめろ」

満瑠兄が足と3文字の言葉で一蹴した。オルディさんが床に干物のように伸びている。ご愁傷さま。
はあ、と溜め息をついて俺は頬杖をついた。とその時感じる足の違和感。
誰かが、足をつかんで、る?

「由良…たすけ…」
「ギャーーーーーー!!!!!!!!!」

怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!!!!!やめろ!!!!!!!!!
反射で思いきり顎を蹴ってしまう。ぼくうううう!!!!!!!という叫び声が聞こえた。

「あ……」

俺の足元に伸びるオルディさん。引きこもりたくなった。外の世界怖い。
すぐローリーさんを呼んで見てもらったが幸い軽傷だったらしい。良かった。
でも俺はこのことがあってからオルディさんを避けるようになってしまった。そして満瑠兄があっち系なのか考えてしまうようになった。
後に満瑠兄にそれがバレてボコボコにされた挙げ句、オルディさんと2人きりで夜眠らされたのはまた別のお話。
キャンディとパニック
(すべての元凶はキャンディ)

******

うわああああすみませんオルディさん大好きなのに…!
いちばん悪いのはみっくんだ…みっくんあほぼくうううう!!!!!(みっくんに蹴られました

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