![]() 「なんのつもり、ロゼ」 「……分からないの?」 私は今、許嫁の滝の手首を縛りあげベッドに繋いだ 下着だけにして 「わかりたくない…かな」 「分からせてあげるね」 ちゅ、とわざと音を立てて首元に吸い付く 「キスマーク……似合うね」 ビクッと震える滝の女性のような美しさは犯罪的で 「…ロゼ…、やめな」 否定的な言葉が気に入らなくて顔を両手で抑え深く深くキスをする 滝は抵抗するでもなく眉間に皺を寄せながら私を見ている その表情を気にせず。むしろ愉しむように微笑んでみたら 滝も笑い返した。仕方がない子供を見るような目で 会話もせず、ただただ全身にキスをする うなじ、おでこ、かかと、くるぶし、せなか、つまさき ゆびも丁寧に丁寧にキスをする 内ももにキスする頃には滝の瞳は潤んでいた 「…ろぜ……なんで…?」 「キス、してたでしょ。私以外の子と」 「……、それで諦めるって…、ストーカーみたいにしつこくて。ロゼに被害が行くかもしれなくて」 「あのね、キスしたところ。撮ってたの」 「え?」 「キスした子と滝の写真、キスしてる写真、周りに仲間がいたんでしょ…何枚も何枚も私に送られてくる。写真だけじゃないか、ムービーもだから」 「…………」 「私、我慢したよ?許嫁だもん。いい子にしてたよ?」 私は泣きながら、必死に笑顔を作った 「でも、もう…」 「ロゼ、ほどいて」 「……でも」 「いいから」 「……いままで、ありがとう」 これでおわり 急に視界が反転する 押し倒された私 「なんのつもり……」 「こっちのセリフだよ。全身にキスしたかと思ったら可愛い顔で泣いて」 切羽つまった滝の顔 この顔は私しか知らない 「覚悟はいいよね?手加減なんてしてあげないから」 終わらない、終わらせたくない 初めての話 |