頼 1



雨の音がする。
朝からまた、アイツが車を止めて待ってる。
私には彼氏がいるというのに、聞く耳を持たない。

「迎えに来たぜ、頼」
「頼んでない」
傘に手をかけると腕を掴まれた
「要らないだろ、行くぞ」
これで……帰りも雨が降っていたら、跡部の車に乗るしかない。

私が乗るべきではない高級車の窓から外の雨空をみる

今日のランチ何にしよう……

何を考えていいか分からない時はご飯のことを考えるに限る

「おい、頼」
「なに?」
「……転校、するのか」
「なんだ、ばれてたの」
「俺様に隠せるとでも?」

いつもの得意げな口調にも覇気がない

「頼」
「ん?」

「ずっと、好きだからな」

視線を合わせずつぶやいた横顔はいつも通り綺麗だった

放課後には雨はすっかりあがっていた



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