![]() 雨の音がする。 朝からまた、アイツが車を止めて待ってる。 私には彼氏がいるというのに、聞く耳を持たない。 「迎えに来たぜ、頼」 「頼んでない」 傘に手をかけると腕を掴まれた 「要らないだろ、行くぞ」 これで……帰りも雨が降っていたら、跡部の車に乗るしかない。 私が乗るべきではない高級車の窓から外の雨空をみる 今日のランチ何にしよう…… 何を考えていいか分からない時はご飯のことを考えるに限る 「おい、頼」 「なに?」 「……転校、するのか」 「なんだ、ばれてたの」 「俺様に隠せるとでも?」 いつもの得意げな口調にも覇気がない 「頼」 「ん?」 「ずっと、好きだからな」 視線を合わせずつぶやいた横顔はいつも通り綺麗だった 放課後には雨はすっかりあがっていた |