![]() 不二くんは私を彼女にしてくれた。 死ぬほど嬉しかったけど、なんでなのかは分からない。 聞きたいけど聞けないんだ。 「薫?どうしたの?」 「不二くん…」 図書室で悲しい物語を読んだ。 悲しい悲しいすれ違う男女の物語。 その物語の王子様は不二くんと似ていた。 いつの間にか涙目になった私を 隣の席で難しそうな本を読んでいた不二くんはふっと笑った 「出ようか」 図書室から出るように促され 私はパタパタと足音を立てて不二くんを追いかける 彼の横顔がまた、ふふっと笑った気がした。 中庭に着くとベンチに並んで座った 何も言わずにただ座る あぁ…不二くんは横顔もきれいだなぁ 私じゃ惨めだ…私は何の取り柄もない。なのに不二くんの隣にいる また泣けてきたぞ… 「薫は僕の隣にいると泣くね……いない方がいいのかな?」 「違うよ…私じゃあ不二くんに…」 似合わない。そう言いかけると、 突然キスされた 「ふ、不二くん!?」 「言わせない。僕はね、僕の可愛い薫が大好きなんだ。たとえ、本人でも否定はさせない」 「〜〜っ、で、でも…」 「薫は自分に自信がないかもしれない、でもそれは薫が原石だから。薫は絶対可愛い僕のお嫁さんになるよ。保証する」 それってプロポーズですか……とは聞けないけど 私はこの不二くんの隣にいる そう、誓った |