【ふざけ】頼



暗殺者。
才能と努力を兼ね備えているべき、そいつ等は、常人ではなかった。

「エル、そっちはどう」
「最悪だよクソヨリ。まただ。またやられた。」

またか━━━。
ヨリの頭には彼の顔が浮かんでいた。彼がやったと決まってない。

「様子は?」
「前と同じ。凍らせるなんてものじゃない。絶対零度で分子が破壊されてる。」

でも、こんな事ができるのは……

「アトベ……、私の邪魔はさせない」
「クソヨリ??どったの??」
「うるせーカスエル。ちょっと出かける」
「およ?組織に報告は?」
エルの声を聞かないまま私は移動した。桜舞(おうぶ)は私の唯一の能力だ。桜の花びらが舞うように移動する。それに乗じて小刀で相手を殺す。
いつもは疲れるからやらないのだけれど、そうも言ってられない。
アイツが私の仕事の邪魔をしているかもしれないのだから。


「久しぶり、アトベ。」
「ヨリ……会いたかったぜ」
抱きしめられて、決心が揺らぐ。
私は、アトベを……殺さなければならないかもしれないのに
「アトベ……、013を殺したのはアナタね。」
「ヨリ……なぜそれを……」

勘のいいアナタなら気づいているでしょう。

眼で訴えた私は、たぶんアトベが見たこともない顔をしていたのだろう

「……ヨリ、俺はお前を殺せない」
「じゃあ死んで。私の為に。」
「お前じゃ俺様には勝てない」
「戯れ言…」

桜舞でアトベの後ろに回り込む。もちもん小刀のねらいを首筋につけて。瞬間冷気が頬をかすめる。

ただで死ぬ訳じゃないのね、アトベ

辺りの気温が一気に下がる。息が白く濁り、雪が降ってきた。
雪が私の肩に付いた瞬間、肩の感覚が消えた。……まずい

「……氷の世界。」

雪越しに見えるアトベ。迂闊にも綺麗だと思った。

雪と桜の動きは一緒。桜が舞うように雪を避け距離をつめる

逆手に持った小刀でアトベを

あぁ……

「どうしたヨリ」
「なんで……」

小刀は耳の後ろにささった。

「なんで避けない!!!アトベなら……っ私なんか……」
「あと10cmもさせば俺は死ぬな」
「っ……」
「お前に殺されるのも、悪くないと思ったんだが……」

やっぱり、なしだ

そう言うとアトベは私の唇を奪った
私は小刀を離し、泣きながらアトベに応えた

抱きしめると私がつけた傷からあふれ出す血液がアトベと私の服を汚したが気にせずキスをした。



「もういいか」
「「!!?」」
後ろから声がして私はアトベから飛び退いた

「サカキさんもう少しヨリとアトベを見てましょうよ」
「しかし、このままではアトベの怪我が心配だ。」

そこにいたのは……
「ヒイラギ!?」
「はぁいヨリひさしぶり」

私の仕事仲間で上司のヒイラギ……はともかく、隣のおっさんはだれだ?

「さ、サカキさん……」
「アトベ、話は後だ。手当をする」

アトベの知り合い?でもヒイラギとも知り合いっぽいなぁ……

「二人とも、殺し合わせてごめんね。アトベとヨリは敵じゃない」
「え?」
「我々とヒイラギ達は……仲間だ」







「ってところで目が覚めた〜」
「くそ頼なんだよ私が活躍してないじゃん!」
「だまれ、かすえる。夢の話を振ったのはお前だろうが!!!」

>>夢落ち<<






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