またある日町中で女の子とお兄さんは会いました。
いつものようにどちらも何も向かい合ったまま話しませんでしたが、お兄さんは女の子のお母さんがどうなったかを電報で知っていました。
小さい頃からお兄さんはずっと女の子に謝りたいと思っていました。
けれどどう考えても自分が謝る理由は無いしそうしたところで女の子がどうにかなるわけではないことを分かっていました。
女の子はずっとお兄さんを責めたいと思っていました。
けれどどう考えてもお兄さんを責める理由は無いしそうしたところで自分がどうにかなるわけではないことを分かっていました。
もっとお互いが離れれば、近づけば、あるいは幸せになれるのかもしれないと言うことも分かっていました。
それでもお互いが離れるのを許さず近づくことも許されず、この並盛という場所に縛り付けられて生きていくしかないのです。

兄妹の孤独と孤高をたたえた深く哀しいその瞳はとても、とてもよく似ていました。




世界はどうして僕らを二つに分けた



(一つになって生まれてきたら今よりは強く、もしくは弱く、生きることが出来たかも知れないのに)



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