これは雲雀さんと哀しい過去を持つ女の子のお話です。

女の子は中学生でした。
女の子にはお兄さんがいました。
風紀委員の委員長をして群れるのが大嫌いでいつも腕に武器をつけている最強と恐れられたお兄さんでした。
女の子はお兄さんとよく似ていました。
黒い髪も切れ長の目もにこりともしない顔もみんなみんな似ていました。
女の子も腕に武器をつけて風紀委員の委員長を務めていました。
通う学校が違うのです。
女の子とお兄さんは兄妹でした。
血が半分だけ繋がった兄妹でした。

女の子は小さい頃から一緒に遊んでいた男の子がいました。
その男の子は女の子よりも一つ上でいつも女の子を大事にしていました。
女の子は生まれてはいけない女の子でした。
お父さんと奥さんでは無い女の人との間に生まれた女の子でした。
そのことをお父さんの奥さんが知ったのは女の子が生まれてから何年も経ってからでした。
女の子はいつも一緒に遊んでいた男の子が自分のお兄さんだとその時初めて教えられました。

お父さんは奥さんと男の子を選びました。
女の子と女の子のお母さんは捨てられ少し離れた同じ町の家に引っ越しました。
町の人は女の子と女の子のお母さんのことを全部知っていました。
そのせいでいつも外に出るときは後ろ指をさされました。
手を繋いで町を歩くたびお母さんは何度もごめんね、ごめんねと女の子に謝りました。
女の子は小さい頃に一緒に遊んでいた男の子、今では自分のお兄さんにあたる男の子とは何度も会っていました。
お兄さんはどこへ行っても有名で大概の寄せ集まった人達は噛み殺されたと聞きました。


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