それからすぐにザンザスがボスになり、女の子はヴァリアーという隊に入ることになりました。
もらった隊服は子供のままの女の子にはぶかぶかで二人に笑われました。
アジトと言う場所に向かうとき女の子は初めて空を飛びました。
ヘリコプターに乗ったのです。

それはそれは嬉しそうに不思議そうに自分が空にいる喜びを信じられないというように楽しんで、ずっと笑っていました。
女の子にとって世界はどれだけ楽しい物なのだろうかと、世界に一つの楽しみも感じない新しい若きボスは思いました。
なぜそんなにこの程度のことで喜べるのか楽しめるのかそれは決して理解はできなかったけれど。
自分が知っている物を女の子が見て驚いて感動して楽しそうな笑顔を向けてくるのはザンザスが世界の中で感じる数少ない好きなことでした。

女の子は世界が大好きでした、ザンザスもスクアーロも大好きでした。
そう口に出すとザンザスはフンと言うだけ、スクアーロは笑いながら頭を痛いくらい撫でてくれました。
それがまた、大好きでした。

女の子は大人になった今でも、と言ってもやはり子供の体に見られてしまうけれど、スクアーロと一緒にザンザスの側にいます。
変わらず色んなことを楽しそうに失われた十年間を取り戻すように、今日も笑って生きています。

女の子は、幸せになりました。




ハロー、マイ・スイート・ワール



(ねぇ、世界ってこんなにもいとおしい場所だったんだね)



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