「…この数日でかなり疲弊したな…」
「全くだな…」
「ああ…」
手作りの首輪と檻と五寸釘をどうにか主から取り上げ、家臣しか真の使い道を知らない物置へしまった。
ちらりと中を覗けば過去の騒動を起こした物々が山のように積まれている。
それらは全て捕らえるため物か、閉じこめるための物。
「…しかしこれだけ作ればいい加減小雨殿を弄ぶ案も無くなるだろう」
「そうだな、此度は前田様が引き金になったが…」
「我らにも普段の職務があることだしな」
そうだそうだとうなずき合い、普段の仕事へ戻ることにした。
――――――…
軍議中。
「今し方、鎮圧中の国からこのような物がわれへ贈られた」
重々しく置かれたのは幾つかの蝶の標本。
それも丁寧に木箱へ納められている。
「我が家の家紋である蝶を磔にしただと…!」
「これは相当な悪意、いや殺意にございまする…」
「吉継様…!」
手元の小さな箱を見つめる視線にどの家臣も息を呑んだ。
が、そこは長い間仕えた家臣なので、あれ何だかやっぱり視線がおかしいと誰かが気づき。
「磔、か…」
「…………」
「……その手があっ」
「奥方様を隠せ!早く!!」
「うおおおお!」
今日も家臣達の努力と苦労は終わらない。
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