大谷吉継 | ナノ





相手決めって、あの相手決めだろうか。
お嫁に行く先を考える時の…。



「われでなければ嫌だと泣き叫んだであろ」

「!!!」



え、なんで刑部がそのこと、いやだって絶対、え、ちょっなんでなんで。



「だっ、てあの時親戚の人しか…」

「…いやぬしにな、伝え忘れを言いにいったのよ」

「…つまりあの場に…」

「まあ物陰に少々な」

「え、ちょ、ま」



思考が完全に停止したのが分かってしまった。



「ぎょ、おぶ嘘だよね!親戚の伝え聞きとかそういう…」

「まだ耳はまともよ」

「それは知ってる、けどっ…」

「けど?」

「う、だってはず、恥ずか……っうわああ私木の上で一晩明かす!置いてって!」

「おやおや疲れが見えるな。これは早急に部屋に戻らねば」

「やだあああ!」



必死に叫ぶ私の口をあっさり塞いで、ゆらゆらと機嫌良く屋敷へ戻って行った。

一つ考えたことがある。
刑部はちゃんと黄昏時に私へ人かどうかを聞いて確認したけれど、私はしなかった。
これはもしかして刑部の形の魔物に引っかかってしまったんじゃないか。

とか何とかを刑部に言ってみたらその設定で手酷く苛められた。

二度と言わないでいようと思う。


 

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