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で、結局。
「はい伊達のー。」
「おう……何で麩ばっかりなんだよこの鍋は。」
「君の取り皿がそうなるようによそっているからに決まっているだろう。」
机を囲むように双竜がきちんと混ざっていた。
「鍋くらい自分で取らせろ。」
「君達に箸を鍋につける権利は与えないよ、与えられたものを食したまえ。」
「右目の、右目の。」
「悪いな。」
「何で小十郎のはまともな具が入ってんだよ!」
「君の幻覚だろう?
ハハッ(笑)」
「腹立つなこいつ…っだああ言うこと思い出したぜ!
てめぇにいい加減小十郎を引き抜こうとすんのを諦め―」
「手鞠、伊達君がおかわりだそうだ。」
「はいな。」
「熱ッッ!
口に入れんな口に入れんな!」
ぎゃあぎゃあと騒がしい声が上がりながらもどうにか鍋は完全になくなりそうに見えた。
そうしてあと半刻もするうち、野分は次第に遠ざかって行った。
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