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2、行事遊び
ガギィン!
重厚な物同士がぶつかり合う音が庭に響いた。
しばらく余韻と共に空気の揺れを感じていると、再び響きが生まれる。
ガギィンガギィンガギィンガギィン!!
目にも止まらぬ速さで自分の友人と最近雇った忍びの境を鉛玉が飛び交い、一つの指先の狂いで命さえ捕られそうな空気の中で、片方の手元の板が粉々に砕け飛んだ。
「つあ!
松ちゃんまた羽子板壊れた!」
「卿らは羽根突きで命を落とす気かね…」
そう言いながらも上半分が大破した板を回収し、新しい物を与えてやった。
見れば風魔の方も相当危ういへこみが生まれているが、見て見ぬ振りをする。
「その前に罰則だ。」
「!
羽子板壊れた時も負けたことになるのはやめようって…うー。」
悲痛な声も虚しく、筆で四本目の猫のヒゲを頬に書かれる。
「くそー…風魔がちょっと胸を張ってこっち見てるよ松ちゃん。」
「力量の差だ、受け入れたまえよ。」
そう言い聞かせながら戦いを再開させれば、再び互いの間に鉛玉が飛び交う。
しかしやはり普段扱う武器の違いなのかまた徐々に風魔が優勢になりつつあり、それを見ていた松永が。
「卿、卿。」
「な、に!?」
「忍びが負けた際の罰則は特別に卿が行う権利を与えよう。」
「うりゃあああ!」
「!」
最終的に、風魔の頬へ四本ほど猫のヒゲが書かさることになった。
羽子板は蜂の巣になった。
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