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いつの間にか炊き込みご飯の材料が揃っていた。
材料だけ、揃っていた。
「…で、誰が作るんだ?」
「誰?」
「卿だろう。」
「松ちゃんだろう。」
「「………」」
二人で鍋の蓋をあけ、野菜、米、水、酒、醤油をぶち込んで再び蓋をし火にかけた。
「これでどうにかなる。」
「本当に?本当になる?」
「私が嘘を言ったことなどないだろう。」
「じゃあ松ちゃんどうやって息してんの?」
「…流石に今のは効いたな。」
それでも一刻ほど待てば出来る、と恐らく正しくない知識を採用して、しりとりだの何だのをしながら待った。
結果。
「美味しい煮物が出来ました。」
「だろうな。」
「丸ごとの野菜がいい感じです。」
「米は半生だ。」
「ですよね。」
結局苅ってきた竹筒を器にもぐもぐと咀嚼する。
「皮くらい剥けば良かったなあ、松ちゃんおかわり。」
「そら。」
「いらない、お米ばっかりどちゃあっていらない。」
「どちゃあ。」
「まだやりよるこの苛烈。」
米はもう少し煮込んだらちゃんとおいしくなりました。
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