ドンドンドンッ
今日も友人である男の子の部屋を激しくノック。
「スッ君!スッ君!ザン君が大変!」
「あぁ!?またご乱心なのかぁ!?」
「一緒に魔女が宅急便する映画見てたんだけど、『女に飛べて俺に飛べねえはずがねえ』って窓から…」
「ゔお゙ぉい早まんなあぁ!」
仔どもばなし
巨大なマフィア養成学校の近くにあるボンゴレファミリー・アジト内。
そこの御曹司である少年の部屋ではほぼ日常的になりつつある騒動が起きていました。
「ゔお゙ぉいザンザス!生きてっかぁ!?」
勢いよく飛び込んだその部屋の中には大きく窓を開けている御曹司の姿。
何だか今にも飛び立たんとしている。
「何だ鮫か。お前は飛べねえぞ」
「んなこと望んでねえっつの!」
慌てて羊と一緒に幼なじみ兼一応学友を押し止めた。
服をしっかり握っているのに少しずつ体が前へ動いているのはどれだけの執念だろう。
「お前よく考えろぉ!この前はモノノケ姫のあのカタカタ鳴る奴探しに行こうとするしよぉ!」
「何だカスのくせに。お前アレだぞ、あのカタカタまだ諦めてねえんだぞ」
「知るかあぁ!」
交渉の末、羊の「特別なモップがないと飛べないんだよ!」に納得して何とか食い止めた。
引きずり下ろした椅子に三人で座ってようやく落ち着いたところに笑いをこらえたメイドがお茶を持ってくる。
この年になって空飛びたいとか言いだしゃ当然だよなぁ…と三人の中で一番精神年齢の高いスッ君ことスクアーロが心中でボヤいた。
自殺未遂をしかけたことに気づいていないザン君ことザンザスと、誘発したことに気づいていない紅一点の羊はのんきに運ばれてきたお菓子を食べている。
「羊…あんだけこの御曹司に宮崎映画見せんなっつったろぉ」
「でもザン君ジブり大好きなんだよ、不機嫌なのがすぐ治るの」
「どんだけぇ…」
正直この三人の中で一番年長のくせに一番中身が子供なのがザンザス。
15歳とは思えないほどの威圧感と目付きの悪さを持っている にも関わらず内面がこうも子供なのは、ザンザスの幼少時代のせいと知っているため無理に正すことはしないとしても。
「それより良いのかぁ、そろそろ学校行く時間だろぉ」
「今日あんのか」
「うん、先生たちの会議で午後からになったんだって」
スクアーロはすでにワイシャツと黒ズボンの『制服』に着替え終わっていた。
羊もワイシャツに黒いスカートの『制服』。
「ザン君まだパジャマじゃん。遅刻しちゃうよ」
「なめんな、この下に制服は着てる」
「お前馬鹿だろぉ!」
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