昼を少し回った頃、スクアーロが剣を磨いている応接間の扉が開いた。
そこからまだ眠たいのか不機嫌そうな顔のザンザスが入って来る。
「お前寝すぎだろぉ」
「うるせぇカス…」
完全に開ききらない目で、スクアーロの向かいにあるアンティーク調のソファーにドカッと座った。
そのまましばらく周りを見渡して、いつもならもう来ているはずの存在の姿を探した後。
「…羊はどうした」
「今日は友達の所に宿題やりに行くって言ってたぜぇ。後で電話するってよぉ」
「………」
「人が答えてやってる間に二度寝すんじゃねぇ」
はじめましての日
「ディーノくーん!あーそーぼー!」
昼の閑静な住宅街、ではなく、周りに極端に家が少ない場所に建っている一軒家へ羊が元気よく叫んだ。
が、そこからの反応は返ってこない。
「?ディィィィィ」
「羊!そこは俺の家じゃない!」
「おお!?」
慌てて隣の豪邸から飛び出してきたディーノに2回目の呼び出しを阻止される。
途中つまずいて階段から落ちたのか、あちこち痛そうにさすっていた。
「ごめんねディーノ君。ここ誰の家?」
「ペットのなんだ」
「すげー!」
どう見てもまともな一戸建て。
念のため許可をもらって玄関を開けてみると、ちゃんとその向こうではあらゆる動物たちが寛いでいた。
どうしたらハムスター、猫、犬、爬虫類、鹿、馬、兎が共同生活を送れるのかすごく尋ねたかった。
その中に一匹、どこかで見覚えのあるリスとも狐とも取れないような動物がいた。
「なうしかだ!なうしかのペットのあれだ!」
「あはは、それは俺も間違えた。でもフェネックって言って映画のあいつとは違うらしい」
「そうかー…」
ザン君に見せたかったなあと呟いて、そこをおいとまする。
いつまでも入って来ない二人にロマーリオが玄関まで出て来ていた。
「やあ羊、よく来たな」
「あ、ロマーリオ。お邪魔します」
「しっかり勉強教えてもらえよボス」
「きょ、今日は宿題助け合うんだぞー」
「そうかそうか」
軽く笑いながら、後でお茶とお菓子を持っていくと伝えて第一の部下兼保護者は廊下の向こうへ消えた。
もーと軽く頬を膨らませた若いボスを羊がおかしそうに笑う。
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