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名無しさんはブラックスペルの服に白蘭さんと正反対の髪なので、大変お二方の境界線がはっきり見えます。
っていうか白蘭さん、今日は朝から会議があるって言ったじゃないですか。



「僕名無しチャンと口で言えないようなことをしてるから正チャン行ってきて。」



無 理 で す 。
あらゆるマフィアが雁首揃えてるのに何で僕が仕切れるんですか。
しかも今の発言で名無しさんの鉄拳が後ろへ飛びました。
いや、避けてましたけど。



「ちえー、じゃあ行ってちゃちゃっと終わらせようかな。
名無しチャンバイバーイ、また後でねー。」



ズルズルと手を引かれながら朗らかに笑っている白蘭さんを、名無しさんはとりあえず見送りはしてくれました。
良かった、あそこでさっさといなくなられると白蘭さん少しへこむから。



「名無しチャン今日も可愛いなー。
今日は名無しチャンと何しよっか正チャン。」



あまり困らせるようなことをしないであげてくださいよ。



「それは無理だよ、困ってる名無しチャンってたまらないんだから。」



本当に外観と中身の色が釣り合いません、まあもう周知の事実ですが。
今日名無しさんにふりかかることが出来るだけ少ないですように、と祈りながら僕は白蘭さんを会議室まで引いていきました。


朝の騒動から二時間、会議は滞りなく進んでいるようです。
そろそろ休憩なのでお茶を入れ直している部下を監督しているとき、会議室の外の机に白蘭さんの携帯が落ちていました。
というよりは置いていったのかな、何気なく手にとって見ると、何とどこかへ電話をかけていました。

画面にはCallingの文字、耳を澄ますと聞こえる発信音、向こうに切られても再び着信を始める携帯。
え?何?呪い道具?

存在が理解出来ずに悩んでいると、ちょうど休憩に入った白蘭さんがやってきました。



「正チャンそんな隅で何してるの?」



ああ白蘭さん。
これは一体…。



「あーそれね、技術系の子に頼んで作ってもらったんだ。
一人に延々と電話をかけ続ける機能♪」



うん、やっぱり呪い道具だった。

当然のように相手は名無しさん。
名無しさんの携帯は電池切れ以外では電源を切れないようになってる(というよりした)ので、鳴り続ける自分の電話をどう眺めているんでしょう。


 


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