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はじめまして、正一です。
僕はわけあってミルフィオーレファミリーというおいしそうな場所でなぜか怖いくらい高い地位についています。
趣味は音楽鑑賞と機械いじり。
特技は心労と疲れによる気絶です。


僕の朝の仕事は白蘭さんを急き立てることから始まります。
ちなみに。



「あ、正チャンおはよー。」



この人が白蘭さんです。
ここのボスですがぶっちゃけ真っ白なのですぐ見分けがつきます。
あとルックスは爽やかですが腹の中は炭化済みです。
それからこの笑顔は擬態です。



「正チャン何か失礼なこと考えてない?」



そして勘も鋭いです。
ここは適当に誤魔化しておきましょう、何も考えてませんよ白蘭さん。
今日のスケジュール知ってます?



「ん?
名無しチャンとマシマロ食べてお昼寝。」



いえ1ピコグラムも合ってませんから。
そう、毎日がこんな感じの白蘭さんに1日のスケジュールを教えるのが僕の最初の仕事です。
今日は朝から大事な会議がありますから、あちこち行かないでくださいよ。



「本当に正チャンは僕の鎖付き首輪だね。」



いやいやあなたを拘束しているわけじゃありませんって。
ボスとしての仕事をしてくださいって。
もう遠慮も何もしないでため息を吐きますよ、この人は気にしませんから。

白蘭さんの部下で困ることは三つくらいあって、一つはこの飄々とした性格です。
掴み所がないっていうか、気をつけていないと遊ばれるっていうか、とにかく気が抜けません。
二つは例として出すと迷惑がかかるのでここでは…



「あ、名無しチャーン!」



出てしまいました。
曲がり角を曲がってきた黒い女性に白蘭さんが光の速さで飛びつきます。
その人は一瞬たじろぎましたが、悲しいくらいいつものことなので大人しく飛びつかれていました。

これが困ることの二つ目、名前は名無しさんです。



「朝っぱらから…」

「おはよう名無しチャン、朝から会えるなんて本当にラッキーだよね。
運命かな?」

「呪い。」

「良い呪いもあるもんだねー。
朝一番に名無しチャンに会えるなら僕毎日百人くらい生け贄使っても良いよ。」



会うたび会うたび、動くのに邪魔なくらいぎゅうぎゅうと白蘭さんは名無しさんに抱きつきます。
名無しさんは対応にも手慣れたものがありますが、普段あまり表情を見せない中で白蘭さんの接触の際のみ不機嫌な顔になるのは相当なことだと思います。
とにかく白蘭さんは名無しさんにべったりで、名無しさんは白蘭さんにばっさりです。


 


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