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「…名無しチャン僕の部屋行こうよ、今なら理性を捨てれるよ。」

「行かない。
…困った?」

「そりゃ困っ…えぇ何今の聞きかた可愛いもう一回言っ」

「チェルベッロ正一呼んできて。」



嵐のような難題が通り過ぎてくれたことに心底安堵した。
何かのペナルティーとしてもこの難題は使われるので、もう少し気を引き締めていなければ、と心に誓う。

正一が来たことでどうにか離れることに成功し、息を吐く名無しの後ろから。





「名無しチャン、前言ってたパジャマ着てくれてるんだね。」



吐いていた息が止まる。
前言ってた、とは、いつぞやかの「二時間」の時に危うく着せかえ人形にされそうになった時のことだろうか。

あの後置いて行かれた衣服は着ているが、それがなぜ、知られているのだろう。
寝間着姿で部屋から出たことなど無いのに。





「おやすみ、名無しチャン。」





五言以上の発言の無視はペナルティ。
それは分かっているのに、どうしてもその言葉にだけは返事が出来なかった。

毎朝残っている濃い人の気配が何なのかを、理解してしまいそうだったから。




 


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