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「おら、月に一度の豪遊日だ。
生で欲しい奴は給料取りに来い。」

「ひゃっほーい!」

「いい酒飲むぜー!」



何だか人を殴り殺せそうな札束をあっさりと振りながらγが呼びかける。
間違えていなければ名無しがこの光景を見るのは三度目で、初見の時から隊員のテンションの上がり具合は全く衰えていなかった。

以前にまだ手渡しとは珍しい、とγに言うと、こっちの方でないと実感湧かない奴が多くてな、と返された。





「あとは……お、名無し。
お前の分だ。」

「…私ってもらってて良いの?」

「そりゃ俺らと同じ仕事してんだからな。
遠慮すんな。」

「うん…まあそれもあるんだけど、これが。」



おもむろに小さな黒いボール状の物を取り出した。



「何だこれ。」

「財布。」

「…パンッパンじゃねえか。」



それは内容量が多すぎて膨らんだ二つ折りの財布。
数ヶ月分の給料を無理に入れると財布で野球が出来るようになることを初めて知った。



「ああ、お前銀行に預けるとか出来ねえからな。」

「使う宛ても無いし。」



まず口座を持っていない上に、持っていたとしてもここから出られないので入れにも出しにも行けない。
必然的に財布が弾ける一歩手前まできた。



「今月の給料入らないな…」

「…まず金庫を買うところからだな、お前の場合。
今夜のことは覚えてるか?」

「大丈夫。」

「まあ一番の障害は白蘭だが……」

「名無しー!」



しょあっと腰元に飛びつかれた感覚に多少ぎくりとするも、至って顔には出さず背後の野猿へ腕を回した。



「名無し給料もらったのか?」

「もらったよ。」

「いいよなー、オイラなんか大人になるまで預けられっぱなしだぜ。」

「お前はまだその方がいいんだ野猿。
それよりも俺達はこれから出かけるが、アジトの留守を任せても大丈夫か?」

「任せとけってアニキ!
あ、太猿アニキにお土産頼んで来るな!」



びゅーんと飛んでいった背中を見届けてから、任せた、という視線をγが送り、名無しもうなずいて受け取った。



 


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