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その後しばらくして大体全員が料理を終えた頃、脱いだエプロンを持ったままの名無しが複雑そうに室内を眺めていた。



「名無し、どうかしたかー?」

「…いや、何か違和感が。」



何か漠然と不思議な感じがするも、それがうまく分からない。
気のせいなのだろうかと首を傾げていた時、茹で終えたニンジンのボウルを片付けている野猿が呟いた。



「けどこんなにニンジンいんのかなー…」



そ れ だ 。

嫌な予感を覚えて隣の部屋のγを訪ねると、案の定大皿いっぱいのハンバーグを焼き終えていた。
裸エプロンをしてる三人はその格好のまま日常生活を送っていた。



「…γ、一つ聞きたいんだけど。」

「ん?」

「弁当の大きさ、どれくらい?」

「おお、日本のよく入る弁当箱を見つけたからな。
それにしたぜ。
オジュウとか言うらしいが。」



体が固まったのを自覚した。
そう言えば自分は卵を六個も与えられ、野猿は5本もニンジンを剥き、その他の隊員も確実に当社比5倍の量を作っていた。

この優秀なリーダーの親バカ体質はよく理解したものと思っていたのに。



「…一般的な弁当箱はもう少し、小ぶりで良いんだけど。」

「何、どれくらいだ。」




…このくらい?と両手で控えめな俵型を作る。
以前の職場で同僚が作ってくれた弁当箱の一回り小さいものを正確に現した。
と同時に、γの体が固まる。



「…本当かそれは。」

「お重は確か大人数の宴会用とかだから、多分ユニには…。」



多すぎるだろう、と言うよりも先にγが立ち上がっていた。



「おい、近所の店開いてるか!」

「まだギリギリ開いてます!」

「誰か正しい大きさの弁当箱を買ってこい!
どの部隊でも良い、急げ!」

「「「うっす!」」」

「おおおい裸エプロン部隊は行くんじゃねえ!」



ボスのためにドタバタとせわしなく走り回る光景に、少しだけ名無しが苦笑する。
どこでもこうなのだろうかと一瞬、考えた。


結局正しいサイズの弁当箱を用意した結果、かなりの量の料理があまったのでいつの間にか飲み会になった。
野猿が無理に酒を飲んで酔っ払ったので、部屋の隅で介抱しながら宴を眺める。
つまみが花形のニンジンや大量の小さなハンバーグなのがおかしい。

ぼんやりとそれらを眺めていると、宴会序盤から飲んでいるにも関わらず、大して酔っているように見えないγが肩を叩いた。


 


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