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じゃあ行ってくるねーとヒラヒラ手を振って歩き出した白蘭さんが、不意に振り返りました。



「ねー正チャン、『二時間』伸ばそうよ。
短すぎじゃない?」

駄目です。
実質名無しさんの自由時間は四時間くらいなんですから、誓約に従うと半分の二時間が限度です。

「名無しチャンの仕事なくしちゃうのは。」

それも駄目です。
他の部下と対等に扱って身体の無事を保障することが誓約なんですから。

「もう皆誓約誓約って。
誰さそんな誓約結んだの!」

あなたでしょう!?
白蘭さんがほとんど無抵抗であの人たちと結んできたんじゃないですか!





名無しさんを人質にもらうために。





ちえー、と不満そうに踵を返して、今度こそ白蘭さんは廊下を歩いて行きました。
拒絶するものへ会いに。
届かないものを届けようとして。

そういうものまで愛と呼ぶのかは僕には分かりませんが。




 


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