こちらはかの有名な三番隊です。
隊長を筆頭にあまり情報が出回っていませんので、良い印象を受ける方は少ないと思います。
ここの名物はと申しますと。


まず正面の右手をご覧下さい。
とても大きな虚でございます。
最近たびたび侵入していますが、三番隊はあまり他の隊から好かれていないので援軍等は全く来ません。


続きまして左手をご覧下さい。
それに追い掛けられる三番隊名物の三人組でございます。
隊長が本気を出さないのでたびたび逃げ回っている次第です。


















*生き物には優しく*

















まず先頭、三番隊隊長・市丸 ギン。
続いて三番隊隊員・名無しの 名無し。
最後に三番隊副隊長・吉良 イヅル。

それらを追いかけまくるかなり巨大な虚一匹。






「なん、なんで虚が瀞霊廷内に入ってきてるのギンさんー!」

「僕に聞くなやーイヅル説明せい」

「僕ですか!?」





結局分からないので、逃げることに集中した。
私もその中の一人。
ギンさんやイヅルと楽しく縁側でお茶をしていただけなのに、何でこんな虚に追われていたのかを思い出そうとして。



「あれ…何で逃げてるんだっけ…」

「イヅル、名無しが走りすぎてもうアカン!」

「しっかりして名無し!あの虚の体に触れたら石に変わっちゃうからだろ!」

「あ、そうだった!」







話は数十分前にさかのぼる。










三番隊の仕事部屋に三人の死神。
この部屋は元々隊長室だったのだけど、ギンさんが一人だと寂しいからと言う理由で仕事部屋に改造した。

この部屋で仕事をしていいのはギンさんこと市丸隊長と、イヅこと吉良副隊長。
そして隊員の私。
はたから見れば変な光景になる。

ちゃんと座ってカリカリ仕事しているイヅ。
そこら辺に転がって昼寝しているギンさん。
でかいピエロの人形を背中に背負って一人パズルをしている私。



私の背中にはいつも大きなピエロがいる。
赤と白の水玉模様の服を着て、黒い+印の目が白い陶器に印されている、良くできた人形。
名前はファイ君という。
いつだってニッコリ笑って私に抱きついている。

ファイ君には意思がある。
抱きつく場所も良く変わるし、軽く手を振ったり自分で這い回ったりと、コミュニケーションも少しだけ取れる。


小さい頃「何だか危ないから」とお店の人が捨てようとしていたところを頼んで貰ってきた。
私より頭一つ分小さいけど人形としてはかなり大きいから、背中におんぶするようにくくりつけて一緒に行動している。








「む……」



ギンさんが寝返りをうった。
この部屋だけ見ると何だかまるでバラバラな三人だと思う。






「隊長、邪魔ですからどこか行っててくれませんか」



最近ギンさんに仕事をさせるのを諦めてきたイヅ。
そう言われたからか、全く傷ついていない様子でよっと体を起こして。



「そんなら皆で散歩行こか、おいで名無し」

「はーい」



ギンさんが散歩に連れていきたがるのはよくある事だから、私は未完成のパズルを置いた。



「イヅルも来いや」

「僕は仕事があるのでいけません」

「何やつまらんなあ」

「隊長の分も仕事をやってるから行けないんですよ?」



ギンさんの仕事しなさっぷりは私が来た時より更に磨きがかかっていて、イヅの仕事時間は当然他の隊員の二倍かかる。
それが中々可哀想だから、私も時々ハンコ押しを手伝ったりする。
でもたまには一緒に散歩だって行きたい。

 

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