――――――…


「ギンさん朝だよー!」


ドスゥ!


「ぐあっ!」



毎日の日課であるギンさんを引きずり起こすことに今日も成功した。
これで寝坊連続三十回目らしい。



「あーもう、イヅルは僕起こすのにどれだけ必死やねん…」

「ギンさん夢でも見たの?

ここ虚圏だよ」



私がそう言うと、ギンさんはあ、という顔で一瞬止まった。





「ギンさんの寝坊回数数えてるのは藍染さん。早く起きろって」

「あー…せやったせやった。寝ぼけてたわ」

「ギンさんはいつも寝坊助ですねーファイ君」



ファイ君の魂魄を入れた猫型のぬいぐるみを撫でると、イエスと言わんばかりにうなずいた。

今までの大きなファイ君も好きだけど、こういう小型ファイ君もこれはこれで良い。




「ギンさん、ザエルアポロにファイ君喋れるようにしてもらえないかな」

「ファイ君を?」

「うん。ファイ君だったら私が現世にいた時のこときっと覚えてるからさ。ファイ君が喋れたらいいのに」


「…そう、やなあ」



不意にギンさんが静かになった。
もう寝坊助ではないらしい、不思議そうに覗き込むと頭をくしゃくしゃされた。



「そんならもう起きるわ。イヅルから連絡ある日やしな」

「今日はテレビ電話の日だよ!イヅに会えるね」

「絶対また痩せとるであいつ」

「ちがいないー」





笑いながら布団を畳むと、ギンさんが真っ白な服を着た。
ここへ来たときに藍染さんが作った物で、ギンさんは私だけは着なくても良いようにしてくれた。

手を引いて部屋から出ると、不意にギンさんが。




「なあタエ」

「ん?」

「ここは楽しいか?」




ギンさんが、そんなことを聞いた。

どうしてかは分からないけれど。



「楽しいよ。藍染さん面白いし破面の皆は仲良いし、すっごく楽しいよ!」



即答すると、さよか、とまた頭を撫でる。



「そんなら、ええ」

「?
変なギンさんー」

「お前には負けるわ」

「何だそれ。私まだギンさんに負けたつもりはー…あ、イヅから電話きた!」

「うわ、そんなら早う藍染さんとこ行かな。走るで」

「うん!」

「目上の者には?」

「あ、はーい!」










今日も三人組は平和です。






Fin.

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