「だからってあんなに思わせ振りなこと言わなくったって良いだろ。どんだけ僕が勘違いしたと思ってるんだ、切なさ返してよ」
『切ないだけで終わるより良いでしょ。それにイヅに何も言わないのはギンさんが望んだことだし』
ギンさんがしたいことは何だってしてあげたい。
それはこう言う意味だったのか。
「ったく…で、ファイ君は元気?」
『バリ元気だよ。よく考えたらファイ君って改造魂魄だから取り出せば簡単に持ち運びできたんだよねー』
あははーと笑う名無しは、虚圏に行くとき持ち運びしやすいように小さなぬいぐるみにファイ君を移し変えて行ったらしい。
だから抜け殻になったファイ君の体を名無しの部屋でみつけた時は心臓が飛び出るかと思った。
『でもやっぱりファイ君はおっきい方が良いから、イヅこっちに来るとき持ってきて下さいな』
「そう言われると思って焼却炉から救ってあるよ」
『ありがとうー。イヅも早くこっちに来れると良いね、また三人で散歩したい』
桜がないからお花見は無理だけど。
そう呟く名無しに、僕が向こうへ行くときは桜の枝か何かを持って行ってあげようと思う。
何だかんだで電話を心待ちにしているのは事実だし。
『そんじゃイヅ、またかけるね!』
「はいはい、藍染隊長をあまり泣かせないであげてよ」
『出来る限り頑張ってみますー。ばいばいっ』
「うん」
ピッ
「吉良君!」
通話を切った直後、雛森君が走ってきた。
「吉良君、今隊長達が虚圏への対策を話し合うところ見られるんだって。吉良君も行く?」
その言葉に、僕はいつも通り笑って。
「もちろん。一字一句聞き逃さないようにしないとね」
そう答えた。
今度は僕から電話をしなきゃいけないな。
どうやら当分僕らが離れることは、なさそうだ。
今日も三人組は平和です。
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