あーもう、と呟いて仕方なしに起き上がった。
ところでギンさんは雪だらけになった隊室気にしないのかな。
そう聞いてみたら「溶けるやろ」って返された。

私ギンさんのそういう大雑把な所大好き。




「ギンさん雪合戦やりたい。やろー」

「やらへん」

「やーろー」

「やーらーへーんー」



着替え途中のギンさんの着物をブンブン揺さぶってもイエスと言ってくれない。
よしこうなったら実力行使だ。

私は縁側からピョンと外に飛び出して雪玉を作った。




「そないに物騒なもん持ったらあかんよ。人に投げたなるやろ」

「じゃあ雪合戦しよー」

「僕寒いの苦手なん…」


ベシイッ















宣戦布告。















「ちょっ、反則!石入れるんは反則!」

「うわわわ首から上は無しだよ!」

「お前さっき思いっきり当てとったやん!」

「痛い!何かギンさんの玉痛いよ!?」

「つめたっ!」







中々盛り上がってます。

ギンさんやっぱり強い、いつ雪玉作ってんのか分からないくらいポンポン投げてくるし!
どう見ても本気になってるよあの人!




「ギンさん隊員相手に大人げないっ」

「喧嘩売って来たんは名無しやから。隊長にかなう思ったら大間違いやで」



そう言った瞬間ブワッと何十個も雪玉が私めがけて降ってきた。
うおおすっごい量!





「ふっ…甘いわねギンさん。吸ってファイ君!」



ズコオッ!


一瞬で雪玉がファイ君の口の中に。



「んなっ…」 

「吐いてファイ君!」



ドゴゴゴゴッ!



「ぎゃー!!」








――――――……


「ふんふふーん、ふふふーん」

「…何してるのさ、名無し」



庭の雪でかまくらを作っていたらイヅがやって来た。
縁側から不思議そうに私を見てた。





「見れば分かるでしょ、かまくら作ってるの」

「ああそれかまくらか…前方後円墳の形してたから分からなかった」

「普通の形じゃ面白くないからさー」

「だからって古墳の形にしなくても…それより市丸隊長は?」




そこまで聞いたイヅがピタッと黙った。
多分視線は私の手元。






「…何か前方後円墳から右腕が突き出してるんだけど」

「それオブジェだよ。題名は『下克上』」



突き出された右腕がジタバタ動く。



「イーヅルー」

「あれ、このオブジェ喋って動くんだね」

「そうそう。単三電池二本だよ」

「ブッ殺すでほんまにー」



右腕は動くけどそれだけじゃどうにもならないから、全然怖くない。
あんまりジタバタされるとかまくらが壊れるから押さえておこう。






「このオブジェの声何だか市丸隊長に似てない?」

「まさかー、そんなわけないでしょ。めっ!ギンさんおとなしくしてなさい!」

「今言ったよねギンさんって言ったよね」



何のことかな、イヅの幻聴じゃないかな。
なんて考えながら前方後円墳型かまくらの表面を整えていたとき、油断して滑った手がガシッとオブジェの手に掴まれた。




 

[ 11/38 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -