この日にいたずらが集中する事は周知の事実なので、昼時になるとちらほらと被害を受けた人達が自然と集まり始める。
まだ被害を受けていない隊長も情報を得るために来るので、結局は会議のようになる仕組みだ。
「何や京楽えらい落ち込んでんなあ。…あと剣八の髪、なしたん?」
いつもはツンツンの更木流の髪が、いつもと違いダランと流したままになっている。
「今日だけ全然まとまんねえんだよ。ったく…」
イラつく剣八の髪に、乱菊が気づいた。
少し近づき、重力に逆らっていない髪に鼻を近づける。
「何か、妙に薬臭くない?」
「そうだよー。剣ちゃんお薬の匂いがすごいの」
「ちょっと、四番隊のどこかの呼んで」
そして、いたずら被害の処理に慣れている存在の名を呼んだ。
連れてこられたどこかの名無しは、少し剣八の髪を触って。
「あー…髪の芯力を失う薬が染み込んでますね」
「やっぱり、薬?」
「はい。水や湯に混ぜると白く濁る薬なので、飲んでしまったとしたら気づくと思うのですが」
「心あたり無いんか?」
あー…と少し考えていた剣八の目が、クワッと見開かれた。
「……風呂」
「剣ちゃん、お風呂がどうかした?」
「そういや、昨日の風呂の湯…白かったよな?」
「「「「え?」」」」
剣八以外の全員がキョトン顔。
「…別に白なかったで」
「ああ、俺が入った時は普通の湯だった」
「剣ちゃんいつも最後に入るからだよ♪」
「あー、それで分からなかったのね」
「…っ畜生!」
【被害者4 風呂に薬を混入される】
「お湯に髪の毛がつかっちゃったんでしょうね。成分を元に戻すお薬出しておきますから」
「名無しちゃん、剣ちゃん悔しくて聞いてないよ」
「あら」
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