本日、五月三十一日。
「「「「来る…」」」」
全ての隊長達が日付表を見て息を飲んだ。
明日我が身がどうなっているか。
それだけを心配して…。
【Trick!Trick!Trick!】
六月一日は悪魔の日。
数年前からこの日だけ、異常なほどいたずらが集中している。
隊長格の者達が何かしら必ず被害を受け、しかも一向に犯人が見つからない。
いだすららしく簡単な物もあれば、驚くほど手のこんだ物もある。
けど何も無いのが本当は一番なので、皆それなりにこの日を警戒し、去年痛手を負ったものは割と必死に回避しようとしている。
六月一日、早朝。
泊まりがけた八番隊隊室で七緒が目覚めると、「七緒ちゃ〜〜んっ!」と何やら情けない我が隊長の声が。
「どうしたんですか隊長…」
「ぼっ僕の日本酒が全部焼酎に変えられてる!!」
「は…?」
ボヤけた視界の中、部屋に飛び込んできた京楽は今にも泣き出さんばかり。
片手に三つずつ酒瓶をぶら下げてきた。
「酷いよッ…日本酒用のひょうたんに焼酎を入れてしまうなんて…!」
【被害者1 酒の中身をすり変えられる】
「いつもは飲めるなら何でも良いと言っていたのに…まったく。それより避けてください着替えなきゃ…ってあらァ?」
眼鏡を付けた七緒の体がグラリと揺れて、思わず京楽の元に飛び込んだ。
「七緒ちゃん…、やっと僕の愛を…」
「違いますから!何だかわた、私の眼鏡がおかしいことに…」
【被害者2 眼鏡の左右のレンズを入れ換えられる】
一方その頃とある廊下では、東仙要が歩いていた。
そこへ通りかかったのは雛森 桃。
「あ、東仙隊長おはようござ―――」
雛森の表情が固まった。
だんだんその口元が笑っていく。
「あっははははは!何ですか隊長ソレ!あはははははは!」
「何だ…何かあるか?」
「東仙隊長気が付かないんですか…っあははははは!ひ、日番谷君ー!乱菊さーん!」
「どうした?ってうおっ…」
「ぷっ…はははっやられてる!東仙隊長やられちゃったわ!」
「な、何なんださっきから…っ」
東仙がいつも付けている防眼サングラスに、可愛らしいキラキラお目めの落書きが。
【被害者3 目の落書きをされる】
「お前目が見えねえから気付いてねえんだろうけどなあ…」
「日番谷君…苦しいよ…ッあはははは!」
「似合ってるー!似合ってるー!!」
笑いころげながら定例集会に集まった三人とサングラスの目を落とそうと奮闘する一人。
あいにく油性だったようだ。
前/
次
戻る