あなたが付け足した最後の一言にどうしても悲哀が取り残されたことを私は聞き逃さなかった。
一番最初に藍染さんが自分の側に置いたあなただから、そんな感情を持つことが許されないって分かっているんでしょう。
分かっているからこその虚栄。
「案外世界も脆いもんやね。こないに簡単に壊せるなんて笑えるわ」
肩をすくめて笑う、口の端を釣り上げるまるでこれが面白くて仕方がないことのように心からそう思っているように。
それならば私はあなたの手を振り払って向こうに残ることが出来たのだけど。
でも、あなたが私だけをこちらへ連れてきた理由を勝手に考えていいのなら。
私は。
「…名無し?」
膝をついてその銀色の髪ごと抱きしめた、包み込んで決して顔が見えないように。
可哀想な隊長、あの人に従いすぎて側に置かれすぎていつのまにか自分の本当の喜びも悲しみも分からなくなってしまった可哀想な隊長。
『世界を壊す』ただそれだけを未来にさせられて。
ねえ隊長、春って綺麗ですよね。
「ああ」
ねえ隊長、夏って綺麗ですよね。
「…ああ」
ねえ隊長、秋って綺麗ですよね。
「……ああ…」
ねえ隊長、冬って綺麗ですよね。
「…………」
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