君と僕は同じ生き物だったのだと思います。
君はずいぶん僕と違っていた。
僕よりずっと柔らかく微笑んで言葉少なに物を喋って、空気みたいにそこにいた。
君はずいぶん僕と似ていた。
笑い続けるしか表情を知らなくて言う言葉は周りに溶け込むものばかりで、空気以外になるすべを知らなかった。
騒がしい喧騒の中に放り込まれれば意図も簡単に押し潰されて消えてしまって、そしてそのことを誰にも気づかれないような、何か大きなものが自分に押しふりかかれば抵抗ということもせずにそれを全て受け入れることを選んでしまうかのような君を僕が見つけたのはやはり。
君と僕が同じものだったからなのだと。
自惚れても良いのだろうか。
君が誰かのそばにいるところを見ているのが辛かった、嫉妬でも何でもなくてそして僕らしくもなく辛かった。
誰かの言葉に何も言うことが出来ずにただ微笑むことしかできない君を見るのが辛かった。
僕らはきっとよく似ていて、君はその良く似た部分を自分をあざむく方法でごまかして、僕は他人をあざむく方法でごまかして、そうして積み重なっていった自己嫌悪を体内に飼い続けるしかこの世界で生きるすべを知らなかった。
僕のやり方はまだ自分を守れるけど君のやり方はただ自分を壊していくだけなのに、一度だけ見た君の瞳はどこかでそれを望んでいるかのように透き通っていた。
だから君を僕のそばに置いた。
同族への依存だとでも笑ってくれればいい。
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