短編 | ナノ






未確認生命体らしき物に触って落ち込んでいる私など意にも介さず、次に何をするか考え出した隊長。
今ここであなたを殺しても誰も咎める人はいないはず。
そんな殺意をこめた目で見る隊長は、心なしか少しイライラが取れていた。




「名無しは、確か六番隊長さんと仲良かったなあ?」

「?」



六番隊と言えば朽木 白哉さん。
朽木隊長のことをなぜ市丸隊長が…。



「違うとは言わせへんよ、縁側に並んでせんべい食べる仲やもんな?」

「な…なぜそれを…」



確かに仲が良いと言えば良い方なのかも知れない。
なぜか分からないけれどよく話しかけて下さるから、お慕いしているだけなのに。
そんなこと言ったって市丸隊長には伝わらないか。



「何でせんべい食ってたんや?」

「…朽木さんは辛子せんべいが好きなので、誘われて」

「そのせんべいは何処にある?」

「確か、朽木さんの部屋の茶棚に…ってまさか…」



ハッとした。



「まっまさか、取ってこいなんて…言いませんよね?ね?」



出来るだけ笑顔で尋ねたけど、市丸隊長は楽しそうに「んーん♪」と首を横に振った。



「取ってこい」



この野郎☆



「…本気じゃないですよね?」

「バリバリ本気やで。ほら行きー、六番隊長さんはちょうど出かけとるから」

「いや出かけてるからとかそういう問題じゃ…!」

ギロリッ


ギャーッ開眼しちゃった!



「はようせい」

「ぅ…う…隊長のバカー!!」



思いっきり駆け出して部屋に行ってせんべいを奪取すると、後は泣きながら駆け戻ってきた。


(兄もじきに辛物を食べられるようになれば良いのだがな)


優しい朽木さんの言葉がフラッシュバックした。
辛いものが駄目な私のために辛味の弱いものを下さったのに…。
ああ、もう、絶対まともな顔で会えない。

ごめんなさい…ごめんなさい朽木さん…!







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