短編 | ナノ






―集会終了後―


まだ一日が始まったばかりだと言うのに、五人も被害者が出ている。



「このままだと隊長達は全滅ね…ギンは大丈夫なの?」

「せや、ちょっと怪しいことあったんや。後で名無しも見てみてや」

「あ、はい」

「日番谷さんとこはどうやったん?」

「ウチの隊長は牛乳と豆乳すり変えられるだけで済んだけど、去年は新聞開いた途端にパンチされたのよ。びっくり箱と同じ原理で」



【被害者5 牛乳と豆乳の交換】



それまで会議に集まった人員を確認していた雛森が、指折り数えながらある事に気がつく。



「…そう言えば、狛村隊長は?」

「そういやいねえな。あんだけでけェから目立つのによ」


そんな噂をしていたとき、散らばりつつある隊長達の後ろでドガンッと音がした。

振り返ると、ヨロヨロ歩く…



「こっ狛村隊長!?」

「おいどうした!」


まるで声を頼りにやって来たように、こちらへ近付いてくる面を被った大男。
右へ行き、左へ行き、時折後ろへ戻りそうな素振りすら見せる。



「おい更木、ちょっと手伝ってくれ。俺じゃ身長が足りねえよ」

「おう……こいつ、面に何塗ってんだ?」



よーく見ると、狛村がいつも被っている面の視界穴が塞がれている。
陶芸の土か何かなのか、乾いて固まっていた。
剣八達の目の前で、見えていないため近くにゴンッと頭をぶつけた。



「…まさか狛村隊長、正面が見えないからあちこちぶつけまくって遅れたとか?」



音は聞こえているらしく、コクコクうなずく狛村。



「アホか!んな面取っちまえば終わりじゃねえかオラ!」



ガシッと剣八が狛村の面に両手をかけて取ろうとするが、大きく頭を振ってそれを嫌がった。
どうにも痛がっているようだ。

チョイチョイと面と服が触れ合っている所を指差した。



「何だこの透明な塊…」

「あっ…ちょっと、コレ瞬間接着剤じゃないの!?」

「本当だ!狛村隊長のりづけされちゃったんですか?」



沸き上がる笑いの中、何とか乱菊が名無しを呼んだ。



「どうしました?」

「ちょっと名無し、狛村隊長の…面取ってあげて…ハハハ!」

「面って…あら、コレは大変ですね」



名無しが薬品で服と面を切り放した。



【被害者6 面に仕掛けられる】



どうやら接着剤が付けられた事に気づかず、被ったようだ。
面が取れた後も、接着剤の匂いにやられてしばらくフラフラしていた。







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