「メリークリスマスイーヴ」



イヴである次の日、私はザンザスの部屋に乗り込んだ。
白い袋をかついでやって来た私を見て。



「何の用だサンタ」

「ザンザスからサンタって言う単語が出るとは思わなかった」



そのまま中身の詰まった袋をザンザスのベッドに下ろしながら私もそこに座って、まあ来なさいと隣のスペースをポンポン叩く。
言われなくても俺のベッドだ的な発言は軽く流した。
腰を下ろしたのを見届けてから袋の中身をベッドの上に並べていくと、キングサイズの面積が半分くらい埋まってしまった。
私の部屋にとっておいた、ザンザスがくれた物から一つずつ残したものだ。
ぬいぐるみから宝石まで本当にとりとめがない。



「…何だこれ」

「いつも私は何もあげてなかったからお返ししようと思って」



これがか?とベッドに広がった有象無象を見てから私へ視線が戻るのを待って。



「全部ザンザスにもらった物だけど返す、というかあげる。本当に欲しい物じゃ無かった」

「違ったか」

「うん、欲しいのはちゃんと見つかったから今からザンザスにお願いするよ」



そしてしっかりザンザスに向き直る。









「私と結婚してください。」











ザンザスがこれだけ驚いた顔を見たのはきっと世界中で私だけだ。
あらら、と物珍しくそれを眺めていたら急に影ができた。
怒ってる怒ってる。



「な、んでテメェが先に言うんだ!」

「ずーっと物で誤魔化してるからですー」



言えないたびにそのことの不安なのか私への詫びなのかあんなに物を贈りたがることをこの人は自分でも気づいていないんだろうけど。
こんなに不器用じゃこの先が思いやられすぎる。
素直にならないからこんなことになるんですよーなんて言いながら、「プロポーズの返事は?」と男の特権を奪われて多少へこんでいるザンザスをニヤニヤしながら見つめていた。




恋と暗殺は手段を選ばず





「………」



クリスマスである次の日の朝、目を覚ますと昨日の仕返しなのか腹いせなのか部屋一面が指輪で埋め尽くされていた。
やられた。




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bkm
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