「ねえ、名無し」



尋ねた声に反応は無かった。
眠ってしまったようだった。



「僕はどうして君を拾ったんだろうね」



あの時。
本当は後継者だとかそう言うことを考える前に、森の中にいた君を連れて帰りたかったのかも知れない。
本当は術への影響のために部屋から出したくなかったのではなく、ただ君を他の奴の目に付けさせたくなかったのかも知れない。
本当は君を弟子にしたいんじやなくて。
僕の世界に閉じ込めておきたかっただけなのかも知れない。
けれどもう本当の理由が分かることは無いんだろう。
名無し、と目を伏せたその顔を見上げて、本当は起きていないことを願いながら呟いた。



「明日は二人で外に出ようか」





エドガー・アラン・ポーの密室トリック




君を閉じ込めたつもりだったのに、いつの間に僕が閉じ込められていたんだろう。



企画「恋がしたい」様へ


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bkm
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