「スクアーロは来週の今日空いてるよね?」
「あぁ、空いてるぜぇ」
「良かった良かった。じゃあその日の晩ご飯の一時間前に談話室に来てよ」
「別に良いけどよぉ、何かあんのかぁ?」
「うん、アル」
名無しがそう言って来たのはもう五日も前。
約束した日は明日だが、こういう約束をすぐに忘れる俺を見越してか部屋のカレンダーから携帯の予定帳にまでしっかりと明日の日付に「17:00談話室」と入れられていた。
人の携帯勝手にいじってんじゃねぇよ…。
しかもカレンダーの方には「鮫!覚悟しろよ!」の赤い文字。
訳分からねぇ。
名無しがベルと組んで俺に悪戯をしかけるのは大抵が予告無しの類いだから多分そう言うのではないと思うが。
ここまでされて明日遅刻でもすればさすがに悪いから、任務から帰って来てさっさと寝ようと名無しの部屋の前を通った時。
部屋から明かりが漏れていた。
時計を見ると深夜の二時、明日の約束はすでに今日になっていた。
「あいつまだ起きてんのかぁ…」
さっさと寝ろぉとでも言ってやろうと部屋の扉に近づいくと。
「…じゃあ私がスクアーロに銃をぶっ放すから…」
ん?
今何かすげぇ単語が聞こえた気がしたが。
思わず取っ手にかけた手を止めると、一緒にいたらしい他の同僚の声も聞こえた。
「何発くらい撃てば効くと思う?」
「ししっ、あのカス鮫ヘタレだし二発あればよくね」
「弾丸もったいないしね」
「あらん。マーモンは弾の方が気になるの?」
「そりゃね、でも名無しの腕ならミスも無いだろう。結構大きいことだけどボスは許可してくれたのかい?」
「うん、何かちょっと張り切ってたよ。鮫をさばいてやるって言ってた」
「ボスの手腕がこんな身近で見られるなんて感動ものよね。私その時ビデオ撮っちゃおうかしら」
「オカマ趣味悪ー」
「ベルちゃんに言われたくないわ」
「結構良い体格だけど、死体いる?
ルッスーリア飾るの趣味でしょ」
「それは良い考えだね」
「いるわけないじゃないの!」
…ゔお゙ぉ゙い。
ちょ、あいつら何話してんだぁ…。
これじゃあまるで俺を殺そうとしてるみたいじゃねえかぁ。
「じゃあ明日の『スクアーロの心臓を止めようパーティー』は17時からね」
まんまだった。
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