「…じゃあ真面目に危ないんで逃げさせてもらいます」
そう言って大乱闘スマッシュブラザーズに背を向けた、その時。
ザシュッ………え?
今、何か嫌な音が……
恐る恐る振り返ると。
ベルが血を流していた。
首筋にナイフが霞めたような小さな傷だけど。
血が溢れてベルの手の平に落ちた。
そして、その血をベルが見―――
べちぃっ「って!」
「「!」」
思いきり前髪ごとベルの視界を片手で塞いだ。
見…
せるわけねぇだろ!ベルが血を見たらどうなると思ってんだ!
動くな!とだけ言って血が出てる首筋をグイグイ拭った。
「いだだだ!
何、何名無し」
ベルの手についた血もゴシゴシ取ってから視界を塞いでた片手を取った。
「…ベル?」
「ってぇ…何、何があったワケ?」
あ、覚えてないんだ。
「セーフみたいだね」
「うん、良かった…
ってアレ!?ベル兄は!?」
「うわっアイツいねぇし!」
「帰ったよ」
「「った!?」」
「というよりは退却せざるを得なくなったってとこだね。念写したらボス達がこっちに近づいて来てたから」
「念写って…マーモンベル兄逃がしたの!?
何で!?」
「…何でマーモンがゴキブリ兄貴のゴールドカード持ってるワケ」
金か。 「だ、大丈夫なん?
逃がしちゃって」
「大丈夫だよ。
スクアーロがシチューの具になるだけだから」
「ボスのところ行って来ます!!」――――――…
夕食時。
何とかボスの機嫌を直して(私が)スクアーロ入りシチューは免れた今日の晩ご飯。
結局マーモンが金で逃がしたこともまたボス怒らせそうだから言えなかったし…。
「二度とあの兄貴来させんな」
「アイツが勝手に来んだってボス」
「悪人ってわけじゃないんだろうけどね……」
「名無しはキスされたのに落ち着きすぎなんだよ」
「こっちじゃ挨拶みたいな物だって」
「まあそうよね」
ピリリリリリ…
「携帯鳴ってんぞぉ」
「あ、私だ」
この着メロって誰もいなかったはず。
ヴァリアー以外の人からかかってきたこともないのに。
ピッ
「はい」
「にしし♪
名無し元気ー?」
ブフウッ!「「「「「「!?」」」」」」「ゔお゙ぉい大丈夫か名無し…盛大に吹いたぞぉ」
「誰からだ」
「…えと……オ、
オレオレ詐欺……」
「本当に!?」
「切れ名無し!」
「いや……良い機会だし…ちょっと詐欺について教えてもらってくる……」
あることを確信した私は元凶の頭をひっ掴んで部屋から高速で連れ出した。
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