「…ボス、止めなくて良いのかい?」
「やらせとけ。そして
願わくば両方共死ね」
「ゔお゙ぉい!
お前本当に上司かぁ!?」
「兄貴にかなうとか思ってるあたり傑作だね」
「は?お前俺に一度殺されたの忘れたワケ?
言っとくけどあん時のお前写メったから。
俺の携帯の待受だから」
嫌な待受だな。全身メッタ刺しの兄貴の画像って。
ヒュオンッ!
私が歪な兄弟関係につっこみを入れてる間に何か戦いだしちゃった。
ベルの先制で。
まあどっちが先でどっちが後かはいいんだけどさ、ナイフ飛ばさないでよ。
めちゃくちゃ怖いよ。
「……ボス、退散しよ」
「……そうだな」
名無しちゃん兄弟喧嘩に巻き込まれて死にたくないんよ。
皆で立ち上がったとき、ベル兄がベルに切りかかった。
それを少し動くだけでベルが避けたら。
――ベル兄がそのままこっちに突っ込んできた。
「スキあり♪」
ガバッ「うわあ!」
「「「「「!」」」」」
スピードを落とさずに突っ込んできたベル兄はいきなり私を
担ぎ上げた。「てめっ…」
「にしし♪
名無しもーらい♪」
そうしてベル兄はもしかしたらベルよりも早いかもしれない走りで。
私を連れ去りました。
「名無しさらわれちゃったわよ?」
「身の安全の確保でこの展開を忘れてたね」
「ヤバイな」
「名無しが?」
「いや…ボスとベルがだぁ」
「「…………」」
「…無言なのに怒りを感じるわ」
「そりゃね…特に今日はボスの逆鱗に触れることが多すぎだよ」
「名無しにキスされた上に誘拐だからなぁ……」
「……おいベル」
「……何、ボス」
「俺もゴキブリが嫌いになった。たった今」
「へぇ、初めてボスと意見あったじゃん」
「ああ…てめぇら全員でベルの兄貴を俺の前に連れてこい。
今晩のシチューにしてやる」
「連れてこなかったらどうなるのかしら」
「俺らがシチューに決まってんだろぉ……」
─────……
「にしし♪
ここら辺で良いか」
ベル兄が私をさらってきたのは使われていない会議室。
ヴァリアーが会議なんてしたことないもん。
ストン、と私を床に下ろしてベル兄も一緒に座る。
そして。
「はじめまして名無し」
「ここまで来て挨拶かあ!」
そうだよね?
初対面だよね!?ちゅーされたりさらわれたりしてるけど初対面だよね!!?
「へーやっぱオレの弟が言ってただけあんね。
おもしろー」
ああ、精神構造めっちゃベルだ。
双子って不思議。
「……何でベル兄はベルのフリしてまでここに来たん?」
「フリ?」
「うん。だって会った時『オレベルだよ』って言ってたじゃん」
「にしし♪
だってオレ名前ベルツォーネだもん。間違ってないっしょ」
マジで!?
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