ベルの後ろにもう一人ベルがいた。
あ、こっちがベルだ。
やってきた本物を見ると、私にちゅうしたベルが気怠るそうにのしかかっていたソファーから身を起こした。
…え?何?この絵。
「…何でベルが二人いんの?
ちょっとボス私の目が二つになっちゃった」
「元からだ」
うそーん。
だってティアラも金髪も前髪も隊服もそっくり…
「俺がいない間に何来てんの、マジ死んでくんない?」
「にしし♪
殺り損ねたお前が悪いんじゃん。てかアニキに向かってその口の聞き方はありえなくね?」
ちょっと待て。
私混乱しすぎてどうにかなっちゃう。
「…ライフライン、ライフラインをお願いします」
「
テレフォン繋がりました。」
「ありがとうマーモン。初歩的な質問です。
ベルの兄貴って……死んだよな?」
「…そのはず、だよ」
だよね、じゃあ何アレ。
YU-REI!?
「あー違うんだよね、名無し。兄貴死んでねーの」
「はい!?」
「ゴキブリと間違って殺ったってのはマジなんだけど、こいつゴキブリ並の生命力でさ。医者も絶対死んだっつったのに回復しやがったんだよね。マジキモい」
あーなるほど。
医者達が『絶対死んでる』って言うほどの致命傷を負ったにも関わらず、生死の淵から生還したと。
そりゃ一回死んでるな。
「僕達も今まで知らなかったよ…」
「マジで殺したと思ってたなぁ…」
「うしし♪
殺したかったんだけどね。今殺っとくか」
「にしし♪
お前兄貴なめてるっしょ。悪いけどお前が言ってた名無しの初ちゅー奪ったの俺だから♪」
「……は?」
何ソレって目で(見えないけど)ベルが私達を振り返った。
だからスクアーロはすごい嫌そうな顔でうなずいたし。
ルッスーリアはすごい楽しそうな顔でうなずいたし。
ボスは
めちゃくちゃ怒りを露にしながら睨み返した。最後に私に確認する。
「…兄貴にキスされたの?」
「……こくり」
「イヤ
うなずきを口で言わなくてもさ」
ごめーぬ、何か口が。
「そう言えば、名無しキスされた後『ベルじゃないよね?』って言ったわよね?何で気づいたの?」
「…ベルは横縞のボーダーシャツだけどさ。
ベル兄は縦縞のストライプシャツなの」
「マジだ!」
「うしし♪
縦縞とかありえねえし、今すぐ見えなくして良いかな。
お前の血で」
「にしし♪
横縞こそありえねえよ、今すぐ縦縞に変えてやるって。
お前の血で」
―ジャキンッ
両者ナイフを両手に揃えました。
あ、やっぱりベル兄もナイフ使いなんだ。
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