「ふ、風圧すごっ…喋れな…ッ!」
「名無し、足に一匹しがみついてんだけど」
「うわ!本当だ!」
この速さで振り落とされるのも可哀想なので、仕方なくどうにか引き上げて腕の中に確保した。
引っかかれて破れたレジ袋そのままに飛んだから、多分街にあの液体振りまかれてるんだろうなあ……。
…まあ、ベルが引っかかれて流血しなかったんだから、いいか。
「ししっ、こいつヒゲ触るとめっちゃ怒ってくんだけど」
お前という奴は。
―――――――…
「もう!街中でモスカを暴れさせちゃ駄目っていつも言ってるでしょ!」
あれからモスカのスピードがなかなか落ちず、何回かその辺りを旋回してようやくアジトに戻ると、近隣住民から苦情が来ていたらしくルッスーリアに叱られた。
正座させられた私達の隣でモスカも座って叱られている。
構造上正座が出来ないので膝を抱えて座っている。
なんだこの可愛さは萌えキャラか。
「罰として、モスカの体をちゃんと冷やしてあげなさい!」
「「はーい…」」
「にゃー」
「あら?にゃあ?」
「ななな何でもない!モスカ行くよ!」
「待って名無し、王子足しびれた」
「何をぅ!?」
しゃわああああ、と冷たい音を立ててホースの先から綺麗に水が飛び出していく。
それを隊服をどけたモスカの機体にかけると、何とも熱そうな湯気を出す。
「本っ当に熱されてたんだねモスカ」
「ししっ、気持ちよさそー」
「キュイン」
私達も隊服にあの液体を浴びたから、半袖短パンに着替えてついでに裸足になってみた。
モスカから跳ね返った水がアスファルトに流れているから、足の裏も涼しい。
一緒に来てしまった猫はなんだかんだでホースからこぼれた水を舐めている。
「あー水つめてー。モスカって水浴びていいの?」
「防水性ハンパなかったから多分大丈夫だと思うんだけどね。あーこら猫、ホース噛むな」
「お、もう一個ホースと蛇口発見ー」
それならダブルでモスカを冷やせるね、と言い掛けたけど、ベルが凄くいい笑顔でホースをこちらに向けているのを見て固まった。
「…ベルさん?」
「何でしょー」
「…それは何?」
「いや夏ならこれだろ」
「いやどれだよ」
次の瞬間思いっきりベルが水を噴射させ、逃げ遅れた私とモスカと猫に水が滝のようにかかった。
「ちょっと分かってたけど…分かってたけどさあ…………食らえええ!!」
「うわっあぶね!ししっ、はーずれー」
「モスカ!水キャノン!」
「キュイン」
「は!?何その機能、ちょっ、うわっ!」
「攻撃の手を緩めるなー!」
「てめっ、俺本気になったし!」
「おわああどっからんな水量出てくんの!?」
ワーワーギャーギャーずっとそんなことをやってたら、いつの間にか暑さがどこかに行っていた。
散々ハッスルしすぎて夜にびしょ濡れのまま、またルッスーリアにお説教されたけど、美味しくアイスも食べれたし一日くらいはこんな日もいいかなあ。
クーラーは治っててほしいけど、明日もまあ晴れますように。
140万打企画
ベル/ゲームしたりふざけたりギャグ甘/まふゆ様/だし様
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