「ベル、スクアーロって何のアイスがいいと思う?」
「あ、これじゃね」
「何々」
「鯖味噌味」
「あったの!?」
え、あ、うわー本当だ…。
パッケージの鯖の写真が凄く生々しく青々としている。
目までギョロッとしてるなあ…こっち見んな。
「……じゃあそれでいいか」
「しし、ネタ用にいっぱい買ってこーぜ」
どっさりアイスをカゴに入れて、ついでに飲み物とお菓子とカップ麺と雑誌とって買ったらカゴの許容量をあっという間にオーバーした。
スーパーみたいにカゴ乗せて押す台車みたいなの欲しい…ああ駄目だ、ベルがマーモン乗せて店内でスーパードリフトするんだった。
「お願いしまーす」
「はい」
こんなにたくさん買ったのに平然とレジしてくれる店員さんありがとう。
「これ幾らいくかな、全然想像つかない」
「カード一括だからいんじゃね?」
「あ、ベルいつの間にDVD買ってんの」
「だって売ってんだもん、面白そーじゃん」
とか何とか言ってると大きなレジ袋三つ分の荷物が出来た。
内訳は猫缶一袋、鯖味噌アイス一袋、その他一袋。
完全に比率がおかしい。
「さって、どうやって持つかな…」
「キュイン」
「あれモスカ、入って来てたの。じゃあこのアイスの袋お願い」
「なら残り俺な。先猫のとこ行ってんぜー」
「あ、ちょっ、私の……」
分は、と言うよりも先にさっさとベルはコンビニから駆け出して、ありがとうございましたーと言う声がそれに続いた。
伸ばした右手を少し見つめた後、仕方なく下ろす。
「キュイン」
「…まあ意外と優しい所があるんですよ。あ、モスカの分持つよ」
「ウイィィ…」
こちらにも拒否られた。
全くこのイケメンめ。
ベルを追って再び炎天下の世界に戻ると、コンビニでは保冷剤という物をもらえないのを思い出す。
これはさっさとアジトに戻らなきゃ危ないかな、主にアイスが。
またモスカの影にいれてもらって早足で進むと、すでに猫に囲まれているベルがいた。
「ベルー、ササミとエビどっちが売れてる?」
「若干エビ。おーし食え食え、ししっ」
わらわらと競い合うように猫缶に群がる猫の頭を慣れた手つきで撫でているベル。
昔に猫でも飼ってたのかな、今度城の人とかに聞いてみよう。
しかし猫社会も結構熾烈な争いがあると見える。
さっきから何匹かが猫パンチの応酬を繰り広げているから。
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