「うわ、涼しいー」
「あー生き返る……」
「いらっしゃいませー」
踏み入れた瞬間から冷ややかな空気に包まれた。
コンビニって素晴らしい、空調だけなら今現在アジトに勝っている。
「名無し、アイス買おうぜアイス」
「必需品だもんね。じゃあどうせだし皆の分――」
「…お客様、お客様」
「はい?」
「……お連れ様のご様子が……」
え?と店員さんが指差した方を見ると、あれーモスカが商品棚につっかえってるー。
うん体の横幅がちょっと規格外だったみたいだね。
でも棚をなぎ倒さないように密やかにキュインキュイン言ってるね。
「ええっと…外でお待ちいただけないでしょうか…」
「でも『待て』が出来るいい子なんです」
「一応他のお客様のご迷惑になるので……」
「なー、鯖味噌味とかのアイスってねーの?」
「え、ええ!?」
「ああそこの人は『待て』が出来ない人なんで気にしなくていいです」
仕方なくモスカには外で待っていてもらうことにした。
機械だからきっともう体中熱いだろうな…。
「モスカのためにもさっさと終わらせないと……ベルー?猫缶コーナーから動いてないベルカムバーック」
「ササミとエビだったらエビだよなー名無し?」
「本当に人の話を聞かない人間だなー惚れ惚れする」
うんうんエビでいいよエビで。
今はアイス選んどこうよ。
「エビアレルギーだったらどうすっかな」とか万が一にも無いこと考えなくても別にいいよ。
結局両方の猫缶をカゴに入れてきた。
「結構広いコンビニだからふらふらいなくなるなってベル」
「ししっ、じゃあこっち持ってやるって」
カゴの持ち手を片方ベルに持たせて、私達の間にカゴがある感じでようやくアイスコーナーに戻った。
「なんか前来たときと変わりばえしねーなー」
「あー、アイス業界って夏場あんまり新商品出さないらしいよ。ほっといても売れるから、逆に売れない秋冬に新商品頑張るらしい」
「げ、マジ?」
「マーモンのマーケティング情報」
ならガチじゃん、とぼやくベルとそれでもアイスを選ぶ。
本来ならかなりの種類が揃ってるんだから文句も言えまい。
とりあえずルッスーリアが苺系、レヴィがかき氷系、マーモンが小分けされてる系、ボスがチョコ一択、スクアーロが…
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