そうつっこんだ瞬間、私の隣にいたマーモンが時計やグラスを浮かせ、弾丸のような速さでベル達の肩にいたマーモンへ叩きつけた。
いたっ、と思わず呟いてしまったけれど、ぶつけられたマーモン群はどろんと紫の煙になって消えた。
「「「!」」」
「…とりあえず手を借りたいから、今説明するよ。ああ扉は閉めておいて」
全員の力が必要とのことなのでレヴィも召還し(ボスの召集を装った)、私に話したことを簡潔にもう一度説明する。
「つまり今アジト内にはマーモンちゃんがたくさんいるってことね?」
「うん、劣化版の僕がね。レヴィはここに来る途中見なかったのかい?」
「無理だろぉ、こいつマッハの勢いで来たぜぇ」
「ボスのお呼びだしに応えるのに夢中でな」
「ってか劣化版って何?まあ俺んとこに来たマーモンは妙にカタコトだったけど」
「シンクロ率だよ。外見は皆100%同じになったけど、内面は50%しか同じじゃなかったり、74%しか同じじゃない奴らばかりなんだ」
あーなるほど、完全にマーモンと同じわけじゃないんだ。
それなら見抜ける余地があるかもね。
「モスカがいたら屋敷内の全部駆逐してもらえたのに」
「会議に行ったボスの護衛についてるものねえ…まあボスを巻き込まなかっただけ良しとしましょ」
「マーモン、偽物はどうやって倒すのだ」
「強い衝撃を与えれば消えるよ」
「ししっ、じゃあモグラ叩きならぬマーモン叩きゲームしようぜ。偽物マーモン多く倒した奴の勝ちな」
またベルが趣味悪いことを言い出すけど、ここの幹部達は総じて遊びのジャンルが物騒だから普通に受け入れられた。
普段から命を賭けた鬼ごっこをやっていると麻痺してくる。
とりあえず皆が携帯のトランシーバー機能をONにして、マーモンにも偽物との判別のために無線機を持たせた。
偽物討伐隊はベル、スクアーロ、ルッスーリア、レヴィ。
私はマーモンの守備(偽物が本物を消そうとするのはお決まりのパターンらしい)と情報伝達係。
という布陣で偽物狩りが始まった。
――――――…
『いすぎだろおおぉ!』
開始早々に携帯からスクアーロの声が響く。
部屋を出たらまず廊下に3体、曲がった先に2体、適当に部屋に入れば少なくとも1体は必ずいるし、外をふわふわ浮いてるのもしばしば。
なんか適当に歩いてたらぽてっと頭に落ちてきたのもいたし。
私が強烈なデコピンで消したけど。
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