「何が雪崩てくるか分からないから手で開けるのは危険ね…」
「じゃあ僕が念力で開けるよ」
「マーモンがやたら協力的…ということは」
「俺がいらねーって言ったもん売る気なんじゃね」
「それ以外に何があるのさ。ほら開けるよ、下がっ――」
その時。
廊下から あ の 足音が聞こえてきた。
「うわボス来た!マーモン一旦ストップ!」
「もう念力出しちゃったよ」
「よっし、じゃあ私はベッドの下に――ってぇえ!?」
「いやん、ちょっと待っ……」
ドサササァッ!「「「――――!」」」
ダァンッと力任せに部屋の扉が開かれた音がした。
案の定、今は鬼ごっこ+かくれんぼの鬼に匹敵する存在のボスが殺気まんまんで入って来た音で。
「ちっ、ここにもいやがらね――ッ!?」
あ、やられてる。
ボーダーに目がやられてる。
多少のダメージを負ったものの、ボスは無事私達を見つけることなく去っていった。
「…ベル、生きてるー?」
「…マジ重たい」
「私片手出てたけどきづかれなかったわ」
「これだけの物の山なら当然だね」
現在、私達はクローゼットから溢れ出た物々の山の中にいます。
マーモンがあの膨張しきった戸を開けた瞬間凄まじい勢いで呑み込まれました。
「ほんっとギリギリだった…よいしょ」
まあ結果オーライなのでよしとして、ずぼぼぼと山から抜け出した。
改めて床に座ってそれを見上げると、まあかなりの大きさだこと。
きちんと箱に梱包されたもの、何だかどこかで見たような武器、絡まったコードの束、かなりの数の書類。
とりとめなく集められたといった感じの品々が積み上げられ、こちらを威嚇するように見下ろしている。
「壮観ねぇ、ある意味」
「全然こんなもん入れた記憶ないんだけど」
「君も何だかんだで10年近くここにいるし、いらないものを全部ここにいれてたらこうなるんじゃない」
確かにどう見ても今の時代じゃないものもあるし、時間の遺産か…。
とにかくパンドラの箱を開けた以上、処理をしなければと山崩しに取りかかった。
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