「さてと…今日は誰の部屋に行こっか?」
「名無しの部屋は結構狙われやすいから駄目だね。僕の部屋も割と家具が少ないから、最適とは言えないよ」
「あらん、じゃあ私かベルちゃんの部屋になるわね。でも私の部屋もそろそろ目を付けられそうなのよ〜」
「まーいっつもルッスーリアの部屋に逃げ込んでたしね。じゃあ今日はベルの部屋に…」
「やだ」
きっぱり、って文字が背景に見えた。
え?って顔で皆がのぞき込むと知らん顔でそっぽを向く。
「………じゃあ今日はベルの部屋に」
「いーやーだーね」
「……姉御、ベル拘束して」
「はーい♪」
「いっ!?」
「ベルの部屋の鍵はスペア作成済みだよ名無し」
「ありがとマーモン。じゃあ行こっか」
「はぁ!?ちょっ、離せカマ野郎!」
「ベルちゃん軽いわねえ、もっと好き嫌い無くさなきゃ駄目よ?」
「うぜえええええ!」
荒ぶるベルを押さえつけて全員で立ち上がった瞬間、外の廊下から荒々しい足音が聞こえてきた。
「「「「!」」」」
皆一斉に広い談話室を見渡す。
「私は机の下に隠れるわね」
「じゃあ僕はクッションの影に」
「俺ソファの後ろ」
「なら私はモスカの後ろ」
普段使い慣れた早足で即座に隠れた直後、部屋の扉が思い切り蹴り開かれた。
そこに立っていたのは凄まじいオーラを纏ったボス。
両手にはまさかの二丁拳銃を構え済み。
「…居やがらねえ」
吐き捨てるようにそう呟くと、荒々しく来た廊下を戻って行った。
しっかりその足音が遠ざかったことを確認して、ようやく全員顔を出す。
「レヴィの生け贄もあまり持たなかったか…」
「あんなに喜んで生け贄になる人間久々に見たけどね」
「何にしろ、ここはもう危ないわね。ボスったら同じ所に隠れるとすぐ見つけちゃうんだもの」
現在、ボスは絶賛不機嫌強化運動中。
それというのも月に一度本部へ報告に行かなきゃいけない日があって、そこから帰って来たボスはすこぶる機嫌が悪い。
『ボスが不機嫌な日』と称される。
それがまさに今日なわけで。
「部屋を移動しないとね。ボスに捕まって八つ当たりの道具にされるのは御免だよ」
「そうよ。さ、ベルちゃんの部屋行きましょっか」
「…絶対ぇ後で八つ裂きにしてやる」
「あーあー聞こえなーい」
月1バトルロワイアル
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