少しはひねったネーミングにしろよだの何だのが一瞬頭をよぎった。
突然の出来事に扉の前で固まっていたが、ベル達が部屋から出てきそうな流れだったから直ぐ様その場から離れる。
部屋に逃げ帰ってさっき聞いた空恐ろしい話を思い出してみたが、どう考えても結論は『俺抹殺』。
身に覚えがないのも良いところだった。
結局動機が思い付くまで考えた結果。
「一睡も出来なかったぜぇ…」
気がついたら朝になっていたが朝食は行かねえことにした。
今の状態のまま誰かと会えばかなりビビるに決まっている。(ただでさえヘタレって呼ばれてんのに)
同じ理由で昼飯もそれなりに適当な言い訳を付けて行かなかった。
その間ずっと殺されそうな言動をしたかどうか考えたが全く思い付かない。
任務で大きな失敗でもしてりゃ踏ん切りがつくもんだがそれもない。
…覚悟きめるかぁ。
カレンダーにも赤く「鮫!覚悟しろよ!」とあることだ。
逃げ出すつもりも黙って殺されるつもりも毛頭ない上、時間を指定してくれているならありがたい。
17時の数分前になるのを待って、談話室の扉の前に立った。
確か名無しに発砲された後でザンザスのご登場だったか、豪華なことだ。
時刻はしっかりと17時になったのを確認して、ほとんどヤケになりながら目一杯扉を足で蹴り開けた。
瞬間。
「スクアーロ誕生日おめでとー!」
ズギューン!
ズギューン!「ゔお゙お゙ぉぉい!?」
突然飛んできた名無しの銃弾が俺の遥か頭上を飛んでいった。
あまりに突然な出来事に体が固まりやがる。
…っておい、ちょっと待てぇ。
「…誕生日だぁ?」
「あ、やっぱりスクアーロ忘れてたね」
「うしし♪日付見てみろって」
言われたまま携帯を見ると確かに名無しが予定を入れた今日は俺の誕生日だった。
…微塵も覚えてなかったぜぇ…。
まさかと思い談話室の奥を見るといつもよりは豪勢な飯が並んでいた。
しばらく呆けていた俺を名無しがぐいぐい引っ張って部屋の真ん中まで連れてくる。
「じゃ、じゃあ何で俺に向けて撃ったんだぁ?」
「ああ、パーティー用のクラッカーが無かったから代用したの」
「僕の言った通り二発で足りたね」
すっげぇ紛らわしいんですけど。「んもう、本当に鈍いんだから〜」
「全くだ」
「そっそれならザンザスはどうしたぁ?ここにいねぇだろぉ」
「ボスは厨房でまだ料理作ってるよ。スクアーロの誕生日だから食用の鮫さばいてるんだって」
本物の鮫だったのかよおおおぉぉ。やべぇ、俺今日ほど自分のあだ名を恨んだことはねえぞぉ。
全部俺の勘違いじゃねえかぁ。
席に座ると本当にでっかい鮫が出てきて、ルッスーリアにこの死体を持って帰るかどうかからかっているベル達がいた。
「…こいつらが俺を殺そうなんざするわけねえよなぁ…」
「ん?スクアーロ何か言った?」
「何でもねぇよ。ありがとうなぁ」
「ししっ、鮫がありがとうって言ったんだけどボス」
「似合わねえな」
「あらん、ボスよりはマシよ」
「似合ってないことは確かだけどね」
「うるせぇ、礼くらい言わせろっつうの」
『あははは。まあ何にせよスクアーロ、おめでとー』
さあさ皆で彼を嵌めようではないか!「凄いびっくりさせようってことで、『スクアーロの心臓を止めようパーティー』って名前にしたんだよ」
「ひねりすぎだろぉ!」
40万打企画/百愛様
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