「空がねえ…でも四番隊でミス連発したら危なくない?」

「はい。なのであまり命に関わるようなところではなく、元気にしていても大丈夫な仕事についたと本人が言っていました」



誰の報告よりも、空が嬉しそうな顔で言いに来てくれた時のことを思い出す。
嬉しそうでまだ少し不安そうで、それでもいつも通りの元気な姿を見ることが出来た喜びを。

隊長が卯ノ花なら、葵は何の心配もしていない。


そんな中、歩いている途中でギンが何かを思い出したように呟いた。




「…隊員は全員どっかの隊に入ったんやろ?」

「ええ」

「…あの七猫っちゅうのもどっかに入ったんか」



あ、と乱菊も口を開く。
あの葵以外になつかなそうな存在がどこかの隊に入った所なんて考えもつかない。



「ああ七猫ですか……七猫はユニークでしたよ」









――十二番隊技術開発局



ドスンッ



扉の向こうで何やら大きな音がしたと思い研究員の一人が外を見に行くと、そこにいたのは異様に長い銀色の前髪を持った死神と死にかけの虚が数体。

しばらくその不思議な光景を見つめた後、ああと思い出したように呟いて。



「阿近さーん、今日も研究材料届きましたよー」

「おう。早蕨もご苦労さ…ってもういねえやアイツ」

「七猫君もう行っちゃったんですかぁー?私一回も見たことない…」

「まあ俺たちは材料が届けば良いじゃねーの」



後ろから聞こえる声も気に止めず、七猫がその場からスタコラ立ち去る際。
ネムを引き連れたマユリと遭遇した。



「うむネコ、それなりに役割を果たしているようだネ」

「…誰?」

「お前の隊長じゃないかネ!」

「だってお前葵じゃないし、知らね」

「全く口を開けばコレだヨ。おおそうだ、今度その葵とやらを少々研究したいのだが」

「しね」






「…あのキワモノの隊に入ったんか…」

「一日に数体虚を取ってくればあとはどこで何をしていても良いという条件を受けたそうです」

「あそこ戦闘係少なそうだものね」



さすがに葵が瀞霊廷内に残ると知っているならここにいたいが、そうなるとどこかの隊で死神の集団生活をやらなければいけない。

そんな七猫のジレンマに上手く対応した条件だった。


 



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