「え、もう何人ここに残ってるか分かってるとか?」
「ええ」
「なして?」
「休暇中の二日目か三日目には全員報告に来ましたので……」
「早く言いなさいよそれ!私またあんた達が分割されて悲しいことになったんじゃないかと思って…」
「…乱菊」
「ああもう話題に出していいか気が気じゃなかったってのに、いや嬉しいのよ?嬉しいけどあんた報告義務ってもんが…」
「…乱菊、乱菊」
「何よギン」
「……葵が死ぬわ」
途中からほぼ一人で葵を掴んで揺さぶっていた手元を指差すと、ハッとして両手を離した。
ガクガク揺さぶられた結果だろう、心なし葵の顔色が青白い。
「ああごめん葵!」
「大丈夫か?もうええ加減出るとこ出てもええで」
「いえ大丈夫です、出なくても……」
それでも多少息を整えて元の状態に戻る。
とりあえず廊下の真ん中で騒ぐのも何なので、歩きながら話すことにした。
「じゃあえっとつまり…隊員達は瀞霊廷内にいるの?」
「そうですね、全員何らかの隊に所属しました。一人も外に出なかったのは意外でしたが」
「はー……副隊長さんとかはどこ行ったん?」
「殺那は結構乱菊さんの近くですよ」
「え?」
――九番隊隊室
「零番隊からこの隊の三席へ戻ってきた檻神です。またよろしくお願いします」
ハキハキと挨拶をする殺那を歓迎する隊員と、苦い顔約数名がいる室内風景が見られた。
「殺那君、零番隊業務お疲れ様ー」
「檻神三席戻ってきてくれたんですね」
「お前がいると仕事速度違うからな」
「ああ、これからもよろしくな。それから……」
ぐりんっと勢い良く首を回し、隅でこちらを見ている東仙と檜佐木、それから数名の隊員達に嫌味なくらいの笑顔を向ける。
もちろん本心からの笑みではない。
「以前は『色々と』お世話になりました。どうぞ今後も『色々と』よろしくお願いします」
「…すまなかった(超小声)」
「すみません東仙隊長、俺の耳では何も聞き取れませんでした」
「もういっそ責めろよ!良い笑顔浮かべてねーで俺を責めろよおお!」
「すみません副隊長、自分には何のことだか」
「ぐああああ!」
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