「葵様あ!葵様ああ!」



涙なんて拭えなくて、手は叩き続けて血が滲んで、立っていられないくらいに足元がおぼつかなくて。
何度も何度もあの方の名前を呼んでも扉は二度と開かないし、返事が返ってくるはずもない。

それでも狂ったように叫び続ける声は裏返ってかすれたけれど。
もう自分でも名前を呼べているのか分からなかったけれど。



止めどなく流れる涙に押し潰されないようにするにはそうするしかありませんでした。






「葵様あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

















気がついたのは四番隊の入院棟の一室でした。
空は数日間眠っていたそうで、両手には包帯が巻かれていました。
数日の間で全ての人達の中から「零番隊」という記憶が消えていました。
四十六室がやったのだと思います。

もう同じ場所に殺ちゃんの部屋は無かったし、零番隊の隊室へ続く廊下は隠されていました。
葵様の霊圧はもう、どこにもありませんでした。





もうどこにも零番隊が存在した証拠は無いんだと、分かりました。



 



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