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きらきら、ふんわり

真っ白なドレスは私の小さい頃からの憧れだった。



「やだやだやだ!」

「ガキみたいに言うなよ…」



だいすきな大輝くんに「結婚すっか」と言われたときは驚いたけど、とっても嬉しくて、心臓が爆発するかと思ったくらい高鳴った。

なのに大輝くんってば、結婚式をしない、なんて言うんだもん!



「いくら大輝くんが黒いからって、白いタキシードが似合わないわけじゃないと思うよ!?だからそんなに白いタキシード着るの、怖がらないで!」

「お前、明らかに俺に喧嘩売ってるだろ! …そんなんじゃなくて、」

「やだやだ!私、真っ白でふわふわのウェディングドレス着るのが夢だったんだから!」

「落ち着けよ」

「落ち着いていられるかぁ!私、大輝くんと結婚式で見合うようになりたかったから、結婚式用に髪だって伸ばしてたんだから!」

「あのな、俺の話も…」

「大輝くんの隣でブーケ投げるのだって夢だったんだからぁー!」

「!? な、泣くなよ!」

「うえええぇ…っ!」

「あァ、クソ!お前、泣いたらブスが際立つぞ」

「うっさいわ…!ぐす…!」



はぁ…と大輝くんが呆れたように重いため息をついた。

きっと、私に愛想がついちゃったんだ。
私が我が儘ばっかり言うから、きらいになっちゃったんだ



「あ、あの…大、」

「違ェんだよ。 俺の話も聞いてくれ」



ぎゅっと、
私の両手がこんなにも簡単に
すっぽりと大輝くんの両手に包まれてしまった。



「俺が結婚式をやめた方がいいんじゃねえかなーと思ったのは、」

「うん」

「お前の腹の中、ガキがいるだろ」

「う、ん」



そう。

私のお腹の中には大輝くんとの赤ちゃんがいる。



「だから、結婚式する頃にはお前の腹もでかくなるだろうから、結婚式とかしたら危ねぇんじゃねーかなぁ?と思っただけなんだよ!分かったか!」

「いたっ!」



すごく優しいと思った。

恥ずかしさからなのか、ようく分からないチョップを頭に食らったのは確かに痛かったけど、


でもそれ以上に、大輝くんは優しい人だった

なのに、私は…、 私は…



「だいぎぐん…!」

「!? 何でまた泣くんだよ!」

「だいぎぐん、やざじいー!」

「分ァったからもう泣くな!な!?」

「うん…!」




ガシガシと頭を撫でられて、少し乱暴だったけど何も痛くなかった。



「でも!ウェディングドレス着るもんね!!」

「お前、変なとこで頑固になるときあるよな」




ねえ、赤ちゃん

君と
私の真っ白なふわふわの夢は


どっちが先に現れてくれるかな?







( アイオーン様に提出 )
( 青峰くんはことごとく白のタキシードが似合わないと思う^^ ありがとうございました! )