やってしまった。
ただそう思った。
ごちゃごちゃと服が散らばっているベッドにグリーンを押し倒した僕はグリーンの腕を動けないように拘束し、彼をじっと見ていた。
「ぇ、レッド…?」
脈絡もなくいきなり倒したものだからグリーンはただぱちくりと目を何度も瞬かせるだけ。
その様子がなんだか可愛く見えて小さな笑みがもれた。
「な、にっ、笑ってんだよ!!!!」
笑われたのが悔しかったのか、今の状況をやっと理解できたのか、今まで拘束していた腕を逆に押し返されてしまった。
「グリーンって意外と力強いんだね」
「意外とってなんだ、意外とって!」
「だってグリーン細いでしょ」
「別にそんなことねーよ!普通だ!」
イラつきを隠すこともなく僕の言葉に返答しているグリーン。
そんな彼を犬みたいだなと見ていた。
「それよりお前、どういうつもりだよ」
「何が?」
「さっきの!」
「さっきの?」
「だから、さっきいきなりベッドに俺を押し倒しただろうが」
「あぁ、それは」
さて、ここで問題です。
何故僕はグリーンを押し倒したのか。
答えは…………、
「…分からない」
「は?」
だって本当に分からないんだ。
最初から全ていうと、いつもみたいに僕の部屋でゲームをしていたら、ベッドに二人並んで座っているのがなんだか嬉しくて気がついたら冒頭のようになってたってわけで。
だからその理由を聞かれても、僕には答えることはできない。
「なんだそれ、意味わかんねー…」
音をたててベッドに寝転がるグリーンを一瞥してはぁ、と息をはく。
「でも僕気づいたことがあるんだ」
「あ?なんだよ?」
寝転んだグリーンに再び覆い被さるようになり、指をゆっくりと絡ませる。
グリーンは先ほどと似たような体勢になったことで訝しめ、僕の言葉を待っていた。
「グリーンのこと、好きかもしれない」
bkm