くいっと、コップの中身を呷る。酒の炭酸が妙に喉に気持ちが良い。はぁ、とため息をついて隣で床に寝てる奴に目を向ける。
嗚呼、だらしねぇ顔。指で目にかかっている水色の髪を耳にかけてやる。くすぐったいのか眉を中央に寄せてうなる。
「ランピー。」
そいつの名前を小さく呼ぶ。返事も帰ってくるはずなく、ただ規則正しい寝息が聞こえてくるだけ。はー、と空に息を吐けばなんだか無性に笑えてきて。酒を呷ろうとコップを傾けても一滴二滴しか垂れてこず、そう言えばさっき飲み干したなーと気づく。気づかぬ内にずいぶん自分も酔ったみたいで、よくよく考えればどこか気分もふわふわしている。
だからか、今日は随分と人肌が恋しい。隣にいるやつにそれを求めるのもなんだか癪で、ならせめて潰れるまで飲んでやろうと立ち上がると腰に手が回ってきてそれを制される。
「起きてたのか。」
そう言って見た目ほど固くない髪をくしゃっとなでるとか細い声で、それでも意志のある声で、
「行くなよ。」
と言われる。酒取りに行くだけ、と告げると腰に回された手の力が強くなり、行くなよ。と同じ言葉を繰り返された。
「なんかあったのか。」
と告げると、ん。と告げられた。もう酒なんかどうでもよくなってしまいその人肌をかみしめた。
目次 ひとこと感想